韓国での昨年12月の非常戒厳を捜査する特別検察官は7月19日、尹錫悦前大統領を職権乱用などの罪で起訴した。尹氏の起訴は、1月の内乱首謀罪、5月の職権乱用などの罪に次いで3度目だ。拘束は今後、6カ月間に及ぶ可能性がある。尹氏は3月に一度、釈放されたが、今月10日に再び、逮捕されていた。

 尹氏は現在、ソウル南方の京畿道義王市にあるソウル拘置所に収容されている。韓国メディアによれば、尹氏は、収容者別につけられた番号「3617」で呼ばれ、約2坪(約6.6㎡)の独房に留置されている。室内には洗面台と便器、机と棚くらいしかない。眠るときは折り畳み式のマットを使う。

 大好きなソメ(焼酎とビールを混ぜた爆弾酒)を飲み、愛犬に囲まれていた尹氏にとって不自由このうえない生活だが、当面の悩みは耐えがたい酷暑にある。

 ソウル拘置所の収容者棟は3階建て。収容生活を送った経験者らによれば、建物は簡素で断熱効果のある素材も使っていない。もちろん、エアコンもない。独房は最上階にあるため、夏は屋上に降り注ぐ太陽熱が、冬は寒気がそれぞれ直接、房内に入り込んでくる。

裁判所前で記者に囲まれる尹氏(中央)

 今夏の韓国は激しい猛暑に見舞われている。ソウルでは8日に気温が37.8度まで上昇。7月上旬の最高気温を86年ぶりに更新した。

 尹氏が収容されている独房には、扇風機が1台あるが、自殺を防ぐため、手が届かない天井に設置されている。しかも、過熱を防ぐため、50分運転すると、10分間は停止する。収容生活を送った経験者の一人は「夏は暑すぎて、冬は寒すぎて平静を保てる状態にない。読書などできる環境ではなかった」と話す。

 尹氏の支持勢力は連日、ソウル拘置所前に集まり、エアコンを設置するよう求めているが、今のところ、訴えが認められる気配はないという。

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source : 週刊文春 2025年7月31日号