深夜どころか、もはや明け方だった。参院選の比例区に社民党が擁立したタレント、ラサール石井(69)の会見が始まったのは、投開票日翌日の7月21日午前4時過ぎ。「経済政策、消費税。やっぱり段階的に廃止に持っていきたい」「マイナンバーカードに反対していたので、紙の保険証の廃止の延長」……。国会議員として、やりたいことを問われたラサール氏は喜びの笑顔で答えた。
一方、傍らの福島瑞穂党首(69)は満面の笑みとは言い難かった。政治部記者は「この時点では、引き続き法律上の政党として生き残れるかどうか微妙だったからだ」と話す。
社民が政党要件を満たすには、今回、3人以上当選させるか、全国で得票率が2%に達しなければならなかった。「元をたどれば社会党。自民党が誕生した1955年に、左右合同で生まれた伝統的な既存政党で、政党要件を失えば戦後政治の一時代が終わる画期になった」(前出・記者)。
最終的に比例区で2%をギリギリ超えて政党として生き残った。

今回の社民はなりふり構わずだった。福島氏は「崖っぷち」と危機感を語り、土壇場になって知名度の高いラサール氏擁立を発表。結果的にこれが起死回生の一手となったわけだ。
永田町関係者は「現職で改選を迎えていた大椿裕子副党首(落選)の言動も突飛だった。討論番組では司会者の制止を振り切って話し続け、SNSではあえて『炎上』させて票につなげようとする姿勢が痛々しかった」と語る。例えば街頭で、「くるくるぱー」のジェスチャーをしてきた男性と口論になり、「なんでやねん」とヒートアップする動画を投稿していた。
政治部デスクは「社会党時代は左派系労組の支援があったが、ほぼ全てが立憲民主党支援に移り、平和主義や差別反対を訴える市民運動を味方につけるしかない。それも限界とみて、バズり戦略を採ったのかもしれない」とみる。
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source : 週刊文春 2025年7月31日号






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