大相撲の人気が再び高まる今、「平成の大横綱」貴乃花の目に、令和の力士たちの戦いぶりはどう映るだろうか。7月の名古屋場所を「週刊文春」に特別解説。期待の新横綱・大の里をはじめ、奮闘する次世代へのメッセージとは。

 幕内下位、前頭十五枚目の(こと)(しょう)(ほう)(25)が初優勝を決めた波乱の大相撲名古屋場所。新横綱として臨んだ大の里(25)は、11勝4敗の成績に終わる。

 平成の大横綱こと貴乃花光司氏(52)は、令和の新横綱をどう評したか。名古屋場所13日目から千秋楽までの3日間、「週刊文春」は貴乃花とNHK大相撲中継をリアルタイム視聴した。

平成の大横綱はどう見たか

 計10時間に及んだ忖度なしの“ガチンコ解説”を振り返ろう。

「大の里は、右を差し、相手に圧をかけて前に出る右差し相撲。四つ相撲じゃないんです。体格と力を活かし、相手を圧倒できる時は強い。では、出足を止められ、まわしを取って組みに来られたらどう戦うか。この先、相手にも相撲を覚えられていく。四つ相撲じゃないので、こうなれば負けない、という必勝のかたちがない。そこが課題です」

 事前に大の里の相撲をこう総評した貴乃花。13日目結びの一番で対戦したのが、今場所の優勝力士となる琴勝峰だ。結果は大の里の黒星。大の里は立ち合いで右下手を取るが、琴勝峰も右を差し、左で前みつを取ると、左に回り込みながら上手投げを決めた。

「琴勝峰は、胸を合わせてまわしを取りにいこうとしている。大の里は四つ相撲に持ちこみたくなくて、焦ったんでしょうね。腰が上がり、棒立ちになって、最後は寄り切られるように勝負を決められています」

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source : 週刊文春 2025年8月7日号