全国優勝3回を誇る名門高校で発覚した暴行事件が波紋を広げている。OBたちは「暴力は広陵の悪しき伝統」と口を揃えるなか、総力取材で明らかになったのは、長き暴力の連鎖と“名将”による事実隠蔽の構図だった――。

 

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〈野球は、広陵高校の校技である〉

 30年以上にわたって野球部監督を務める中井哲之氏(63)は、著書「ともに泣き ともに笑う 広陵高校野球部の真髄」(ベースボール・マガジン社)の中でそう断言する。

 高校球界屈指の名門・広島県の広陵。野球部の歴史は110年を超え、甲子園出場は春夏を合わせて53回。全国制覇は春の選抜で3度を数える。

「うち2回の優勝は、1990年から指揮を執る中井監督の時代です。就任後に夏も準優勝が2回。部員の自主性と人間育成を重んじ、『野球部は家族』と公言する名将――、そんな中井監督の下で野球がやりたいと、毎年全国から50人前後の生徒が広陵野球部に入部します」(地元紙記者)

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source : 週刊文春 2025年8月28日号