「山椒魚は悲しんだ」かは不明だが、絶滅危惧種のタンチョウやキタサンショウウオが更なる危機に晒されている。生息域である北海道釧路市の「釧路湿原国立公園」周辺で相次ぐ大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設だ。日本最大の湿原で一体、何が起きているのか。「週刊文春」記者は釧路へ飛んだ。

〈なんで貴重な生態系のある釧路湿原にメガソーラー建設しなきゃならないのか〉

投稿には30万の「いいね!」

 7月2日、モデルの冨永愛が自身のX(旧Twitter)にこう投稿すると、登山家の野口健がこれにリプライ。〈一緒にアクションを起こしませんか〉と現地視察を提案。約18万人ものユーザーが賛同するなど、話題となった。

冨永のフォロワー数は19.8万人

 総面積2.6万haの釧路湿原は、国指定特別天然記念物タンチョウの世界最大の繁殖地として知られ、釧路市の天然記念物キタサンショウウオの生息地でもある。そんな希少生物の宝庫でメガソーラーの建設ラッシュが進むのはなぜか。社会部記者が解説する。

「発端は2012年に遡ります。東日本大震災での原発事故を受けて、脱原発の動きが加速する中で、国は、再生可能エネルギーによる電気を国の指定価格で電気事業者が買い取る『固定価格買取制度(FIT)』を創設。1kWhあたり42円と超高額の買取を目当てに外資系企業が次々参入。釧路市内での建設が急増しました」

全国のメガソーラー建設に疑義を唱える野口

 近年特に目立つのが、釧路湿原での建設だ。

「釧路湿原は道内でも積雪が少なく、日照時間が全国平均より長く、平坦な地形はパネルを設置しやすい。実際建設できるのは釧路湿原のうち国立公園外の『市街化調整区域』ですが、ここは市街地にも近く送電網も整っており、建設適地とみなされたのです」(同前)

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source : 週刊文春 2025年9月4日号