「身近な人や最愛の家族が陰謀論にハマっていくのを目の当たりにするのは、とてもつらいこと。最初はただただ混乱するしかありませんでした」

 

 母親が陰謀論に陥った経験をそう話すのは、30代男性のAさんだ。

 

 陰謀論にハマった人に対し、家族にできることはあるのか。そして、陰謀論からの“生還者”は、何をきっかけに脱出することができたのか。「陰謀論の研究」連載第5回は、当事者たちの本音に迫った。

優しかった母が「ふざけんじゃねえバカヤロー!」

 Aさんの母は、新型コロナウイルスの流行が始まり社会が混乱に包まれた2020年ごろから、「政府はコロナを使って我々をコントロールしようとしている」「コロナは中国が意図的にばら撒いた」といった内容の動画を送ってくるようになった。「目を覚ましてほしい」との思いから母と同居する父に相談すると、それが母に伝わり、過去に経験がないほど激高された。

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source : 週刊文春