JR常磐線の藤代駅北口を出て徒歩2分ほど。鳥居の脇に「藤代オートバイ神社」と書かれた薄紫色の幟がはためく。境内には、ハーレーダビッドソンに跨るライダーを模した写真撮影用の顔出しパネルもある。並立する看板に目を凝らせば、御守や御神札、御朱印などの販売所も案内されている。指定されたグッズの販売所は、近くにある日本維新の会の参院議員・石井章氏(68)の新旧事務所。それらの建物に、東京地検特捜部の捜査員が家宅捜索に入ったのは、記録的な猛暑が続く8月27日のことだ。

特捜部の係員が事務所から段ボールを運び出す ©時事通信

「容疑は、勤務実態のない人物を公設秘書として届け出て、国から出る秘書給与を騙し取ったとする詐欺です。捜索を受けたのは、茨城県取手市にある石井氏の地元事務所や自宅、参議院議員会館の事務所など。不正受給額は最低でも800万円に上るとみられ、石井氏周辺で公設秘書の名義貸しが常態化していた疑いもある。石井氏は8月29日付で日本維新の会を除名処分となり、9月1日に議員辞職しました」(司法担当記者)

 石井氏は、地元の藤代町議など地方議員時代を含めて30年以上のキャリアを持つ叩き上げの政治家だ。2009年に旧民主党から出馬し、初当選。2012年に落選するも、2016年の参院選でおおさか維新の会(当時)から立候補し、国政に返り咲く。3年前の参院選でも再選を果たしている。全国的な知名度は高くないが、維新の馬場伸幸前代表の信頼も厚く、参院の顔役として党内での存在感は抜群だった。

オートバイ神社の記念撮影用パネル ©文藝春秋

「党の選対副委員長や両院議員総会長を務め、選挙の候補者選定に影響力を持つ。新人候補者に選挙カーを貸し出すなど選挙を支援して活動経費を得るやり方を周囲に明かし、自ら『公認ビジネス』と語っていたこともあります。石井先生の横顔は、金儲けに目がない“実業家”なんです」(維新の地方議員)

 冒頭のオートバイ神社を石井氏が作ったのは2021年。石井氏はそれまでも、政治家として伸し上がる過程で、多岐に渡るビジネスを手掛けてきた。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル