9月24日から25日にかけて大阪・関西万博を視察した秋篠宮家の長男・悠仁さま。「いのち動的平衡館」で案内役を務めた生物学者の福岡伸一氏が、筑波大学で生物学を学ぶ悠仁さまと交わした言葉の数々を振り返る。

 秋空が広がる9月25日朝。成年式を迎えて初めての単独公務として大阪・関西万博を視察された秋篠宮悠仁さまを、私がプロデュースしたパビリオン「いのち動的平衡館」にお迎えした。ダークスーツをスリムに着こなした悠仁さまは軽やかに車から降りてこられた。会釈を交わし対面すると背丈は私(172センチメートル)より高い。いつのまにか凜々しい青年になられている。

いのち動的平衡館

 館の前でご挨拶し、いざ説明をしようとしたときである。悠仁さまがふと視線を上げられた。その先の空に無数のトンボが乱舞していた。すぐに私は気づいて、館の解説は後回しにして、まずは万博会場のトンボ()についてお話しすることにした。

「アキアカネでしょうか」

 私が問うとトンボ研究がご専門の悠仁さまはすぐに「ウスバキトンボではないでしょうか」

 と応じてくださった。

「このトンボたちが今回、大活躍してくれたのです。万博が始まってまもなく、会場でユスリカが大発生したニュースをご存知でしょうか」

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source : 週刊文春 2025年10月9日号