自民党結党70年。史上初の女性総裁の座を射止めたのは高市早苗氏だった。彼女の生い立ちや流浪の政治遍歴、圧勝かと思われた小泉進次郎陣営が敗れた背景早くも高騰しているサナエ銘柄まで――徹底取材を敢行した。

 

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 (えん)()色の箱から取り出された295枚の黄色の用紙が、10枚ごとにクリップで留められては積まれ、2つの山を形作っていく。どちらの頂がより高くなるか――その場にいる全員が、固唾を呑んで見守っていた。

 10月4日、自民党総裁選の決選投票。最終結果が発表される直前、壇上に座る選挙管理委員の面々に数字が記されたメモが見せられる。各々の反応が結果を物語っていた。

 逢沢一郎委員長は一瞥すると、口を固く閉じ、険しい表情で前方を見据える。鬼木誠衆院議員は眉間にしわを寄せた後、天井を見上げた。高市早苗氏(64)への投票を明かした宮下一郎委員長代理の様子は、2人とは対照的だ。驚きの表情とともにしばらく口を開け、穏やかな笑みを浮かべるのだった。

総裁としてどこまで自分の色を出せるか

 〈高市早苗

 議員票 149票

 都道府県票 36票

 合計 185票〉

 モニターに数字が浮かび上がると、会場ではどよめきの声が上がる。史上初の女性総裁誕生の瞬間だった。

「自民党の景色を変えることができると思っている」

 第29代総裁に就任した高市氏は、就任会見で万感の思いでこう口にした。

 2021年、初出馬となった総裁選では、3番手。昨年は決選投票で涙を飲んだ。今回、小泉進次郎氏を破り、遂に総裁の座を手にした。地元後援会の菊池(おさむ)会長はこう声を弾ませる。

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source : 週刊文春 2025年10月16日号