10月10日、今年のノーベル平和賞に南米ベネズエラの野党指導者、マリア・コリナ・マチャド氏(58)が選ばれた。マドゥロ政権による弾圧にも負けず、民主化闘争を続ける姿に世界中の共感が集まった。
「ノーベル平和賞」と聞いて、黙っていられないのがトランプ米大統領だ。早速、10日にマチャド氏から電話で「あなた(トランプ氏)こそ賞に値する人物です」と言われたと、記者団に明らかにした。トランプ氏はマチャド氏に「賞を譲ってくれ」とは言わなかったとしつつ、「彼女ならそうしてくれたかもしれない」と未練たっぷりに語った。
トランプ氏は9月の国連総会での一般討論演説でも「私は7つの戦争を終わらせた」「誰もがどれ一つをとってもノーベル平和賞を受賞すべきだと言う」と語ったばかりだ。10月9日には、イスラエルとイスラム組織ハマスとの停戦合意を受け、「歴史上、9カ月で8つの戦争を解決した者は誰もいない。私は8つの戦争を止めた。前代未聞のことだ」と言ってのけた。

ただ、日本外務省の元幹部はトランプ氏の「業績」に疑問の目を向ける。例えば、8月にトランプ氏の立ち合いのもと、和平共同宣言に署名したアルメニアとアゼルバイジャン。同元幹部は「いずれも小国なので、欧米やロシアなどに安全の保障を求めていた。米国は、たまたま名前を貸しただけ」と語る。5月に、4日間にわたって軍事衝突したインドとパキスタンについては「米国務省が仲裁に入ったのは事実だが、インドは納得していない。遠からず、再び衝突する可能性が高い」。パレスチナ自治区ガザでも、2年に及ぶ戦闘で、死者は6万7000人を超す。
「米国が大国だから黙っているだけで、トランプ氏のお陰で平和になったと考えている人は少ない」(同前)
ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、トランプ氏との電話会談後、ガザでの停戦を念頭に「一つの地域での戦争を止められるなら、ロシアの戦争も含めて他の戦争も止められるはずだ」と皮肉とも取れる言葉をSNSに投稿した。
「来年こそ、ノーベル平和賞を」と意気込むトランプ氏が次に狙うのは、北朝鮮の金正恩総書記との会談だろう。北朝鮮は10日、軍事パレードを行ったが、金正恩氏は演説で米国を名指しで非難しなかった。
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source : 週刊文春 2025年10月23日号






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