今度は大手IT企業が狙われた。アクティビストで知られる村上世彰氏の長女・野村絢氏と旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスファーストが、ディー・エヌ・エー(DeNA)株を5.12%取得したことが10月27日に明らかになった。その後、シティインデックス社が買い増し、合計保有比率は6.31%まで高まっている。

「野村氏らは8月下旬から密かにDeNA株の買い増しを進めてきました。両者の取得額の合計は約180億円に及ぶとみられています」(金融関係者)

 創業者は女性初の経団連副会長となった南場智子氏(63)。現在も同社会長として辣腕を振るい、横浜DeNAベイスターズのオーナーとしても活躍している。財界総本山の一角を占める企業に、アクティビストが食らいついた格好だ。

南場氏はプロ野球初の女性オーナーでもある

 ただ、ここ最近、野村氏らが標的とした企業は、フジ・メディア・ホールディングスや高島屋、三菱倉庫など不動産を多く保有するところが中心。IT企業のDeNAは異質にも見える。

「DeNAのキャッシュリッチを狙ったのでしょう」

 そう語るのは、あるメガバンク幹部だ。DeNAの2025年3月期の決算は、スマホ向けゲーム『Pokémon Trading Card Game Pocket』(ポケポケ)が牽引して大幅増収を達成。ベイスターズなど、スポーツ事業も好調だった。

「2025年3月期連結の営業キャッシュフローはプラス約390億円、期末キャッシュは928億円にまで達していた。そこで野村氏らは、株主還元を求めて株を買い進めていったのでしょう」(同前)

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source : 週刊文春 2025年11月13日号