警視庁に重大な不祥事が発覚した。

 全国最大規模の違法スカウト組織として「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と位置付け、警察当局が組織をあげて摘発を進める「ナチュラル」。11月12日、この巨大犯罪組織に捜査情報を漏らしたとして、警視庁暴力団対策課の警部補、神保大輔容疑者(43)が地方公務員法(守秘義務)違反の容疑で逮捕された。

14日、送検のため原宿署を出る神保大輔容疑者  ©共同通信社

「逮捕容疑は、今年4月と5月にナチュラルの関係先に監視用として設置されていたカメラで撮影した画像を、スマートフォンのアプリを通じてグループ側に提供していたというものだが、頻繁に捜査情報を流して見返りに報酬を受け取っていた可能性が高い。ナチュラルの捜査班の主要メンバーの1人でありながら、捜査対象に逆に取り込まれたとみられている」(捜査関係者)

 全国に2000人近くのメンバーを抱え、北海道から九州までほぼすべての繁華街で風俗店などに女性を紹介するルートを持っているというナチュラル。「スカウトバック」と呼ばれる違法な紹介料を店側から受け取り、年間の収益は50億円近くに上るとみられている。まるで秘密結社のような強固な組織性と警察に対する異常なまでの敵対心などから、他のスカウトグループとは一線を画す存在だと言われてきた。

「捜査の情報が筒抜けになっているのでは」

 しかし、警察関係者の間では早くからこんな噂が囁かれていた。

「捜査の情報が筒抜けになっているのではないか」

 発端は2025年1月下旬。警視庁の暴力団対策課を中心とした捜査班が、ナチュラルの幹部を含めた一斉逮捕を狙って動いたことがあった。通常、スカウトグループについては生活安全部の保安課が担当するが、ナチュラルについては反社の色が濃いということで組織犯罪対策部(当時)が担当していたのだ。

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source : 週刊文春