資生堂の藤原憲太郎社長CEO(58)は11月10日、2025年12月期の連結最終損益が520億円の赤字になる見通しだと発表した。60億円の黒字としていた従来予想を下方修正、過去最大の赤字に転落する見込み。8月にアメリカの子会社の人員300人を削減したと明らかにしたが、今回、さらに国内で200人前後の希望退職を募ることも決定した。

藤原氏は韓国・中国市場で活躍してきた

 大赤字の主因は19年に約900億円で買収した米化粧品ブランド「ドランク エレファント」の減損だ。

「身体や環境にやさしい成分のコスメとして当初は支持を集めたが、新興ブランドの台頭で苦戦が続いていました」(市場関係者)

 躓きの原因は“プロ経営者”魚谷雅彦前社長時代にある。一つ目は有名ブランドを失ったことだ。21年に「TSUBAKI」や「uno」を、投資ファンドに1600億円で売却した。

「国内の日用品・ヘアケア事業は低価格で利幅は薄いが、ブランド力で需要の底割れはしない。固定費をカバーできる売り上げはあったはず」(メガバンク幹部)

 皮肉にも「TSUBAKI」などのブランドはファイントゥデイが受け継ぎ、売り上げ好調だ。同社の経営を手掛けるのは、マッキンゼー出身の小森哲郎社長兼CEO。カネボウ(現・クラシエホールディングス)の再建に携わった人物だ。

「魚谷氏は『選択と集中』を経営の軸に置いた。資本効率向上のため、利益率が低い事業を切り離すのは仕方ないが、資源を集中させた結果、インバウンドや社会情勢に影響を受けやすいポートフォリオになってしまった」(同前)

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source : 週刊文春 2025年11月27日号