北朝鮮の金正恩総書記が忙しく飛び回っている。11月19日には平壌・江東郡病院、20日には東部の江原道・淮陽軍民発電所の両竣工式に出席して、それぞれ演説した。
いずれも年末に期限を迎える経済・国防5カ年計画の具体的な成果を誇るもので、正恩氏も「感無量である」と語った。
2011年末の権力継承から14年近くが過ぎ、すっかり最高指導者の貫禄が出てきた正恩氏だが、その素顔を暴露する本が今月、韓国で出版された。19年9月に韓国に亡命した北朝鮮の劉現祐元駐クウェート臨時代理大使(53)が発表した「金正恩の隠された秘密金庫」(東亜日報社)だ。
劉氏の義父は「金氏一家」と呼ばれるロイヤルファミリーの資金を担当する党39号室長だった全日春氏で、正恩氏と頻繁に食事を共にする関係だった。著書のロイヤルファミリーに関係する記述は、義父の証言を基にしたという。
正恩氏は13年12月、叔父の張成沢元国防副委員長を処刑した。正恩氏は同年末、全氏ら側近たちとの会食の席で「張成沢は奸臣だ。全く忠誠心がない。父(金正日総書記)の死去後3年間は、ひたすら喪に服するのが孝道(親孝行にあたる振る舞い)だと思っていたが、どうにも我慢できず、処刑した」と語ったという。処刑の方法について「銃殺も弾が惜しいくらいだと思った。骨を残すのも許せないと思い、火炎放射器で何もなくなるまで焼かせた」と話したという。
15年5月には、スッポンを大量に死なせたとして大同江スッポン養殖場所長を処刑した。電力不足で水槽に水を供給するポンプが動かなかったからだが、正恩氏は所長を平手打ちし、「電気がないなら、手作業で水をくみ上げてスッポンを救うべきだろう。お前に言い訳をする権利はない」と怒鳴ったという。
劉氏によれば、当時は正恩氏の権力が確立していないうえ、独裁者としてのストレスで精神的に不安定な状態だったという。正気を失うほど酒を飲み、感情がコントロールできずに、一緒に酒を飲んでいた側近を逮捕させたこともある。
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source : 週刊文春 2025年12月4日号






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