史上初の女性首相に就任して約2カ月。日中対立が激化、維新との溝も生まれ、官邸幹部の「核保有」発言も飛び出した。首相の資質が問われる事態が相次ぐ今、彼女を知る44人への取材で、その来歴を浮き彫りにする。

 

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 バブルがまだ弾ける前のことだ。都心から羽田空港へと向かう1台の送迎車。20代の女性が、鼻にかかったような声を発する。

「政治家になるには、どういうことをしたらいいの」

 後部座席に深く腰を沈めるのは、松下政経塾の創設者・松下幸之助の直弟子で、後にPHP総合研究所社長となる江口克彦である。

 女性は江口にしなだれかかるほど身を寄せ、矢継ぎ早に質問を繰り出す。

「誰か知っている政治家はいないですか」

「松下幸之助は何を政経塾で教えようとしていたの」

 彼女こそ、後に日本初の女性総理となる高市早苗(64)、その人である。

野望を叶えた高市氏

「私は核を持つべきだと思います。最後に頼れるのは自分たちしかいないから」

 この発言が高市政権幹部の口から飛び出したのは、12月18日のこと。

〈官邸幹部「日本は核保有すべき」〉

 完オフ(内容そのものを一切報じない)ではなく、オフレコ(発言者はぼかした上で内容を報じることができる)取材であったため、発言者は匿名の「安全保障担当の官邸幹部」等とした上で各社が報じた。これには野党だけでなく、自民党の前防衛相・中谷元も「しかるべき対応を」と、更迭を促す事態に発展した。

「対立が続く中国からも批判されたが、日本維新の会や国民民主が『オフレコ破りが悪い』との論調にすり替え、首相も幹部更迭に動いていない」(政治部記者)

 では、この発言の主は一体誰なのか。名前と職掌を明らかにしなければ、問題の検証はできまい。

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source : 週刊文春 2026年1月1日・8日号