1月3日、アメリカのトランプ大統領は反米左派政権が率いるベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拘束したと公表した。

 これを受けてロシア外務省は「非難されるべき」と声明を出した。プーチン大統領がマドゥロ政権を支持していたからだ。ただ、この展開をロシアのラブロフ外相は内心、喜んでいるだろう。一体、なぜか。

 実はラブロフ外相は2025年10月20日のルビオ米国務長官との電話協議以降、外交の主要な舞台から離れていた。ウクライナ停戦の条件を巡り、プーチン大統領と溝があったからだ。

 いま、ロシアは西側諸国の経済制裁に苦しんでいる。戦費は拡大し、政府予算の40%超を軍事費が占める。日本の消費税にあたる付加価値税を1月から2%上げ22%とした。それゆえプーチン氏やウシャコフ大統領補佐官は経済制裁解除を目指し、ドネツク州、ルハンスク州の2州の割譲を停戦条件とすることで良しと考え、仲介役のトランプ氏も前向きだった。

 だがラブロフ氏はザポリージャ、ヘルソンも含めた4州割譲を譲らなかった。理由はアメリカへの不信感だ。ソ連時代の外務省に勤務していたラブロフ氏は、米主導の停戦案には乗れないと主張し続けたのだ。

 そこでプーチン氏はラブロフ氏をG20や旧ソ連諸国の軍事同盟会議など主な外交の場から外した。11月下旬、記者からラブロフ氏の動向を聞かれたプーチン氏は「彼が何をしているのか、後で報告させる」と述べた。一時は更迭論も出たが、20年以上外相を務め、国の内情を知り尽くした彼を切ることは出来なかったようだ。

 潮目が変わったのは年末のプーチン氏公邸攻撃疑惑だ。ウクライナの91機のドローンが公邸攻撃を試みたと最初に公表したのがラブロフ氏だ。ウクライナ政府が「最終的に国家テロの政策に方向転換した」などと強く非難。和平交渉に向けた姿勢を再考すると述べ、復権を果たした。だが、米紙報道によると実際には公邸は攻撃されておらず、トランプ氏も「攻撃が起きたとは思わない」と語った。

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source : 週刊文春 2026年1月15日号