マルクスとエンゲルスの「共産党宣言」の書き出しに、日本共産党の現在地をなぞらえれば、「東京・代々木に幽霊が出る――志位和夫という幽霊である」。共産党の志位議長(71)が、衆院選への不出馬を表明したが、依然として意気軒昂である。

委員長在任23年の「長期政権」だった

 1月19日には、X(旧ツイッター)で中道改革連合について「公明党の主張を立憲民主党が丸呑みした」「政治を変える力にはならない」と批判。かつて共闘関係にあった立憲を念頭に「裏切りは人間の行為の中でも最も卑劣な行為の一つだ」と斬り捨てた。

 22日には、ネット番組に出演した斎藤幸平・東大准教授の発言を引用した「赤旗」の記事をもとに「現代版『反ファシズム統一戦線』をつくるために力を合わせましょう!」とし、中道をファシスト認定した。政治部記者は「中道を批判すればするほど、自民を利することが分かっているはずなのに。感情的になりすぎている」と嘆息する。

 志位氏が「裏切り」と言い募る心情も理解できなくはない。かつては立憲の重鎮、小沢一郎氏が共産票を求めて志位氏に接近。志位氏も「小沢さんは本当にすごい。尊敬できる」とべた惚れだった。その流れで2021年には、政権交代した場合、共産党が「限定的な閣外からの協力」をすることで両党が合意した。「民主党が政権を奪った09年にも共産は仲間はずれだった。ついに野党第一党と協力関係を結び、志位氏は『やったぞ』と浮かれきっていた」(前出・記者)。それだけに都市部の低所得層という支持層が重なり、長年、敵対関係だった公明と手を結んだ立憲への憎悪はすさまじい。

 共産は中道候補に刺客を送る方針。大量擁立には多額の資金が必要だが、共産ウオッチャーは「党の不動産を売却するなどして賄うしかないのでは」。共産候補が10%の得票率を得られなければ、小選挙区1人当たりの供託金300万円は無駄金になる。

 そもそも大量擁立するならば、志位氏が議員引退を撤回して、先頭に立たねば士気は上がらないはずだが、その様子はない。

「志位氏は小選挙区が導入された1996年の衆院選以来、比例区の南関東ブロックで当選を続けている。今回、引退を表明した本当の理由は、党勢低迷で同ブロックで1議席も獲得できない可能性が出てきて、落選の危機を感じたからだ」(前出・ウオッチャー)

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source : 週刊文春 2026年2月5日号