山上徹也被告(45)に無期懲役刑が下された奈良地裁判決を「不当」とする弁護側は4日、大阪高裁へ控訴した。

「弁護側はこれまで、『殺人罪』については争わなかった一方、自作のパイプ銃は銃刀法上の『銃』に当たらないとし、法定刑の上限を無期懲役とする銃刀法上の『発射罪』については無罪を主張。情状面では、『宗教2世としての不遇な生い立ちは犯行と一直線に結びついており、量刑判断において最も重視されるべき』として、『懲役は最長で20年が妥当』としていた。判決では一切の主張が退けられた形です」(社会部記者)

 一方、公判で明かされた境遇には裁判員たちも、「想像もつかない程つらい家庭環境」「家族の不遇を抱え込んでしまう家族思いな人物」と同情を寄せた。

小学生の頃の山上被告

「被告が4歳の時に父親が自殺。重病を患う兄を案じた母親は教団へ高額献金を繰り返し、家庭は崩壊する。高校を卒業後、海上自衛隊に入隊し家計を支えるも、母親は亡くなった祖父の遺産まで教団に注ぎ込み、自己破産。被告は兄妹に保険金を残そうと自殺を図るも未遂に終わり、その10年後の兄の自殺で激しい自責の念にかられ、生きる意味を教団への復讐に見出していった。21年、教団に贈ったビデオメッセージをきっかけに安倍晋三氏が標的の一人に浮上したことなどが明らかになりました」(前出・社会部記者)

 奈良地裁は、こうした境遇を情状として重視しない理由について、「背景や遠因」に過ぎず、教団や関係者への怒りや復讐心と、殺人の実行とには「大きな飛躍」があると言わざるを得ないと判示した。

 事実、安倍氏を最終的な標的とした理由は十分には解明されていない。

「判決では安倍氏について、『殺害を正当化できるような落ち度は何ら見当たらない』としているが、裁判で『殺害を正当化できる落ち度』が被害者に認められるケースの方が稀。判決は、教団との関係や、道徳的・政治的責任を否定するものではない」(司法担当記者)

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source : 週刊文春 2026年2月19日号