市民や企業を標的に凶悪犯罪を繰り返し、全国で唯一「特定危険指定暴力団」に指定される暴力団、工藤会(本拠・北九州市)。トップで総裁の野村悟被告(79)が引退したことが、3月25日、明らかになった。野村は2014年、福岡県警を中心に展開された「頂上作戦」で逮捕され、市民や警察関係者などが狙われた四つの襲撃事件に関与したとして殺人などの罪で起訴された。一審で死刑、二審で無期懲役判決を受け、現在は最高裁に上告中だ。

「3月16日に工藤会内部で野村の引退を決定し、その後、全国の主要組織に伝えていたことが判明した。勾留中の福岡市内の拘置所には、逮捕から10年以上が経っても組員が差し入れに訪れ、最近まで絶大な権力を維持していたとみられるだけに、関係者の間では驚きを以て受け止められている」(地元メディア記者)

 警察当局としては当初、刑事裁判を有利に進めるための偽装工作も疑ったというが、最終的に引退は事実と確認された。関係者によると、工藤会としては野村への面会・差し入れのほか親族の送迎等も取り止めるとしている。

2010年4月、福岡県警の家宅捜索を受ける野村被告(中央)

 暴力団を長く担当してきた捜査員が解説する。

「警察の徹底した取り締まりで、工藤会は飲食店からのみかじめ料や公共工事関係の利権をほとんど失い、幹部の逮捕も相次いで組織維持にも苦労する状態。民事訴訟では野村に1億円を超える賠償が命じられており、組としてはこれ以上面倒を見切れないというのが本音のようだ」

 かつては「工藤会との付き合いなしでは北九州で商売はできない」とまで言われていたが、資金源が次々に断たれ、ピーク時には1000人を超えていた構成員も現在は190人ほどにまで激減した。金銭的余裕を失ったばかりか、親分を最後まで支える意識も希薄化し「鉄の結束」が弱まっていたとの指摘も。野村自身も、高齢であることに加え、長期の勾留生活と裁判対応で弱気になっていたとの情報もある。

「公判では本人が引退を口にすることもあったが、今回は事実上、組織から引導を渡され、従うしかなかったのだろう」(前出・捜査員)

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source : 週刊文春 2026年4月9日号