T班長の告白は続く。現場マンションの捜索で見つかった唯一の物質。幾度にもわたる海中捜索とシュレッダー班の執念の末に捜査班は徐々に事件の核心に近づいていく。

北九州監禁連続殺人事件とは
 

 1995年から2002年にかけて、福岡県北九州市のマンション内で発生した監禁・連続殺人事件。犯人の松永太(逮捕当時40歳)が内縁の妻・緒方純子(同40歳)と共に知人や緒方の親族などの同居相手に対して脅迫・虐待などを相次いで行い、最終的には自分の手を汚さず、マインドコントロールにより互いに互いを殺害させるように仕向けた。一連の犯行は7年に及び、犠牲者は7人にのぼった。02年に監禁されていた広田清美さん(仮名、当時17歳)が虐待から逃れ、祖父母に助けを求めて脱出したことで初めて事件が発覚し、11年に松永の死刑が確定。共犯の緒方も無期懲役が確定した。

「もうねえ、ママの部屋があの事件が起きた部屋の真下やったからね。警察の人が来て許可を取ったうえで、ママの部屋の天井に穴を開けとるんよ。そこに配管が通っとるから。で、上から牛乳を流す実験をして、こう流れるからこうだっていう話をしよった記憶がある。もちろん、その日だけじゃ終わらんですよ。もう何日もかけてやりよったね」

 7人が殺害(1人は傷害致死)された「北九州監禁連続殺人事件」で、犯行現場となったのは、小倉北区の「片野マンション30×号室」(仮名)である。同マンションの1階で営業をしていたスナックのマスターは、閉店する直前の2025年4月に私が行った取材で、02年の事件発覚時の思い出を語った。

 マスターによれば、「片野マンション」の下水の配管は、部屋番号の末尾が同じ部屋の、上階から下階へ繋がっているとのこと。つまり、犯行現場の部屋から出た下水は、真下のママの部屋と同じ下水管を流れているのだ。マスターの話は続く。

「ママの部屋での実験が終わった後に、警察は1階にある駐車場のコンクリートの地面を剥がして、その下の配管を見たりしよったね。コンクリートの下に下水が流れとるやろ。そこの(ため)(ます)に溜まったもんを全部搔き出そうとしよったんよ」

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source : 週刊文春 2026年5月21日号