6月11日から始まるサッカーW杯。史上初となるアメリカ、カナダ、メキシコ3カ国の共催だが、開幕1週間前にもかかわらず、大混乱が続いている。
元凶は米国のトランプ大統領である。昨年12月、FIFAのインファンティノ会長はトランプ氏に「FIFA平和賞」を授与。その受賞者本人が起こした戦争で、イラン代表が深刻な影響を受けている。

トランプ氏は同国への攻撃開始後、4大会連続出場を決めたイラン代表の「参加は適切ではない」と発言。その後、出場は認められたが、5月末時点でも選手らは米国のビザを取得できず、トルコで調整を行う異例の事態に。15日からロサンゼルスで行われるグループステージは、メキシコのティフアナを拠点に戦うことを余儀なくされている。この状況に、パサンディデ駐メキシコ・イラン大使は「対等な条件で参加できていない」とトランプ批判を展開する。
代表選手だけではない。トランプ政権の渡航禁止令で、イランに加え、52年ぶりの出場となるハイチなど、少なくとも19カ国のファンは、原則として米国に入国できない。
在米移民コミュニティからも悲鳴が上がる。移民・関税執行局(ICE)は、昨年1月から今年3月にかけて開催11都市周辺で16万人超を逮捕。マリン国土安全保障長官は「試合会場での逮捕は排除しない」としており、在米ハイチ人は「就労許可証はあっても永住権がない人は多い。逮捕が怖くて試合に行けない」と肩を落とす。
「世界史上最高値」とされるチケット価格にも批判の矛先が。初導入した変動価格制により、決勝戦の最高額は当初の約6700ドルから4月以降は1万ドル超へと高騰。転売市場では決勝戦のゴール裏にある座席で1枚200万ドル(約3億円)の値もついた。インファンティノ会長は「米国市場のプレミアム価格に合わせた」と正当化するが、チケット販売方法を巡りニューヨーク州などがFIFAを捜査する事態に発展している。
米代表の開幕戦チケットが最低1000ドルを超える状況にトランプ氏ですら「私なら払わない」と発言。中低所得層も多いMAGA派が観戦できず、不満が募る事態は避けたいはずだが、米代表の開幕戦も定員の約6割にとどまる。“空席の大会”となるリスクが現実味を帯びているのだ。
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source : 週刊文春 2026年6月11日号






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