松永と緒方の裁判は進み、やがて2人に判決が下される。T班長ら捜査に関わった人物たちや事件の関係者はその後、事件とどう向き合ったのか。最後に明かされる真実。
北九州監禁連続殺人事件とは
1995年から2002年にかけて、福岡県北九州市のマンション内で発生した監禁・連続殺人事件。犯人の松永太(逮捕当時40歳)が内縁の妻・緒方純子(同40歳)と共に知人や緒方の親族などの同居相手に対して脅迫・虐待などを相次いで行い、最終的には自分の手を汚さず、マインドコントロールにより互いに互いを殺害させるように仕向けた。一連の犯行は7年に及び、犠牲者は7人にのぼった。02年に監禁されていた広田清美さん(仮名、当時17歳)が虐待から逃れ、祖父母に助けを求めて脱出したことで初めて事件が発覚し、11年に松永の死刑が確定。共犯の緒方も無期懲役が確定した。
今年2月、7人が殺害された北九州市にある「片野マンション」(仮名)の解体工事が始まった。
5階建ての建物が、養生シートで覆われている様子を見ていると、24年前に初めてここを訪ねたときの記憶が蘇る。
周囲に規制線が張りめぐらされ、制服警察官が立番をするなか、関係者以外は入れないはずだが、1階のスナックは営業を続けていた。記者はみな、話を聞こうとその店を目指す。犯行現場の30×号室の真下にある2階の部屋に住んでいた、同店のママも昨年2月に亡くなり、店はその年の6月に閉店した。
松永太(最初の逮捕時40)と緒方純子(同40)が逮捕されたのち、30×号室で暮らしていた住人にも取材をした。部屋の扉には、南京錠をはめるための掛け金が取り付けられており、浴室の窓枠には開閉を防ぐ器具を付けた穴が残っていた。
元福岡県警捜査一課特捜班のT班長(78)が当時を振り返って言う。
「松永と緒方の関係先を家宅捜索した際、『片野マンション』の本棚には200冊以上の本がありました。それがいかにも、人を騙すための勉強用に買ったものばかり。まず警察官の取調べや、外勤の警察官の仕事について書いた本などがあった。刑事訴訟法に関する本もありました。それから、やっぱ詐欺師やなと思ったのは、医者についての本があったこと。当直医のなんとか、みたいな医師の生活について書かれたもので、医者になりすますための勉強用でしょう。あと、それらしい薬の名前も言えるように漢方薬の本やら、薬学の本もありました」
初回登録は初月300円で
すべての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2026年7月9日号






お気に入り記事