540億円の累積赤字を抱えたクールジャパン機構。「日本のらしさを、もっと世界へ。」をキャッチコピーに、官民が総力を挙げたが、今や風前の灯に。鳴り物入りで始まった国家的プロジェクトの“失敗の本質”とは――。

 官民ファンド「クールジャパン機構(CJ機構)」が、破綻を迎えようとしている。今年6月時点での累積赤字は540億円に上り、政府は7月中にも統廃合に向けた検討会を設置。年内に取りまとめを行う方針だ。元取締役の1人は、こう悔しさを滲ませる。

「こんなやり方では失敗すると、何度スタッフに言ったことか」

 CJ機構が大失敗に終わった要因とは――。

 2013年11月に設立されたCJ機構。アニメやファッション、食などの日本文化を海外に売り込むことを目的とした、当時の安倍政権の肝煎り政策だった。

「官民合わせて計約1513億円を出資し、政府が9割、ANAホールディングスやみずほ銀行、電通などの民間企業が1割を負担。初代会長はフジ・メディア・ホールディングスの取締役を務めた飯島一暢氏、初代社長はイッセイミヤケ社長や松屋執行役員などを歴任した太田伸之氏が務めました」(経済誌記者)

 誕生のきっかけについて、立ち上げに関わった関係者が振り返る。

「03年、経営危機に陥っていたカネボウやダイエーの救済を目的に設立された最初の官民ファンド、産業再生機構の成功です。4年間で700億円超の利益を生み、国民負担はゼロ。その後、政府は“2匹目のドジョウ”を狙って10近くの官民ファンドを乱立させた。その1つがCJ機構でした」

 しかし、政府の資金が入る官民ファンドであるがゆえに、発足当初から“ハードル”も抱えていた。当時の内閣官房副長官で、後に所管大臣である経産相として機構の舵取りも担った世耕弘成氏が指摘する。

「官民ファンドは民業を圧迫してはいけないので、確実に儲かるところには出資できない。かといって赤字にもできない。民間がやりたがらないけれど可能性があり、投資の呼び水になるような案件に出資する。言うのは簡単ですが、実際にやるのは非常に難しい」

所管大臣を務めた世耕元経産相

 そのため、政権内でも懸念の声が上がったという。

初回登録は初月300円で
すべての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

  • 3年プラン

    59,400円一括払い、3年更新

    1,650円/月

週刊文春 PREMIUMMEMBERSHIP 限定特典あり 詳しくはこちら

有料会員になると…

スクープを毎日配信!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

  • 1

  • 5

  • 0

source : 週刊文春 2026年7月30日号