社員ら100人超が顧客約500人から31億円を詐取していた前代未聞の不祥事が発覚したプルデンシャル生命保険。エース社員は年収3億円と高待遇の一方、社内で起きていたこととは――。

 

 週刊文春は2025年だけで45人が懲戒処分された驚愕の「社内限・懲戒資料」や社員に突きつけられた退職金不支給の「誓約書」、元幹部や被害者の告白、架空設定で不安を煽る違法営業、幹部のパワハラなど独自に入手した情報を徹底詳報してきた。これまでの記事を振り返る。

【プルデンシャル生命の闇】元幹部が枕営業を告白!「女性社員が契約者の奥さんに訴えられた」《エース社員は年収3億円でフェラーリ・ヘリ・船》(初出:2026年1月21日配信)

 社員ら100人超が顧客500人から31億円を詐取――。30年以上に渡り、社員が着服などを繰り返していたことが発覚したプルデンシャル生命保険。元幹部や社員が「週刊文春」に明かしたのは、あまりに苛烈な営業の実態だった。

 

▶︎女性社員が枕営業で「契約者の奥さんに訴えられた」

▶︎成績上位は有名歌手と宴会、下位は自爆営業、自殺者も

▶︎年収3億円でエースが得るフェラーリ、ヘリ、船

「あぁ……ついに出たか」

 1月16日、プルデンシャル生命保険の社員ら100人超が、顧客から金銭をだまし取るなどの不適切な行為を繰り返していたことが発覚した。その額、31億円。社内調査で判明した結果がニュースで報じられた瞬間、同社の元幹部は、溜め息交じりにこう呟いた。

 

「でも、これは氷山の一角に過ぎません。あの会社はとにかくカネ、カネ、カネで、保険を売ることに妄信的な社員が多く、業界で“体育会系宗教法人”と揶揄されている異常な社風。今後、更なる悪事が露呈していくでしょう」(同前)

 大手外資系生命保険会社の内部で、いったい何が起こっていたのか。元幹部がその全てを明かした。

週刊文春が入手した内部情報から見えてきたものとは…

 プルデンシャルが社内調査を始めたのは、2024年8月。元社員が詐欺容疑で立て続けに逮捕されたことがきっかけだった。

 社会部記者が解説する。

「24年6月、石川県警が60代の元社員を、投資運用の名目で金銭をだまし取ったとして逮捕。さらに同じ年の9月にも、新潟県警が30代の元社員を同様の容疑で逮捕したのです」

 こうした金銭詐取事案が続発したことを金融庁が問題視。25年4月、プルデンシャルと日本の持ち株会社に対し、保険業法に基づく報告徴求命令を出した。

「その命令を受けて公表したのが今回の調査結果でした。発表によれば、元社員3名が同社の制度や保険業務に関連した金銭の詐取を行っており、計8人の顧客から約6000万円をだまし取ったとしています」(同前)

 さらに、同社の保険業務とは関連がない手口による不適切な金銭受領も判明した。

 
プルデンシャル生命が発表したリリース

「1991年以降、106人の社員と元社員が、計約500人の顧客に対して暗号資産などへの投資や儲け話を持ちかけ、受け取った金銭を着服。金を借りたまま返さないといった事例も数多く見つかった」(同前)

 この社員らが受領した金額は計約30億8000万円。そのうち約22億9000万円が顧客に返金されていないという。なぜ、30年以上に渡って着服行為が行われ続けてきたのか。その謎を解く鍵は、プルデンシャルが長年に渡って培ってきた独特な社風にある。

 米国に本社を置く世界的な生命保険グループが、日本へ進出してきたのは87年のことだ。

同社オフィスがある永田町のプルデンシャルタワー

 経済部デスクが言う。

「プルデンシャルは男性を中心とした営業担当者を“ライフプランナー(以下、LP)”と名付け、業界でもトップクラスの精鋭部隊を揃えていった。既存の生保の契約を次々と奪って急成長し、破綻した中堅生保の買収を繰り返すことで、規模を拡大していった」

 営業を担うLPの数は25年4月時点で、約4300人。富裕層や経営者を主な顧客とし、商品の提案のみならず、契約後のフォローまで行うのが特徴だ。

 
プルデンシャル生命HPより

 営業手法や時間の管理等、大きな裁量を与えられているLPは、誰でもなれるわけではない。

「社会人経験のない学生が新卒でLPになることは出来ません。LPになるには異業種で結果を残し、ヘッドハンティングされる必要があります」(同前)

「月収1000万円は普通に稼げる」

 数年前、プルデンシャルへ転職した元証券会社勤務の男性が明かす。

「光沢のあるスーツに高級時計をつけた、いかにも金を持っていそうな雰囲気の営業マンから“ウチに来ないか”と誘われたんです」

 面談の場で男性はこう尋ねられたという。

「キミはいくら年収があったら幸せなの?」

 男性が「1000万円くらいですかね」と答えると、

「それって月収のこと?」

 真面目な顔で、こう返されたというのだ。

 驚いた男性が首を横に振ると、その営業マンはスーツの内ポケットから自身の給与明細を取り出し、こんなふうに嘯いたという。

「プルデンシャルでLPをやれば、月収1000万円なんて普通に稼げるよ」

 男性が振り返る。

「実際、給与明細には1000万円以上の金額が印字されており、気持ちがグラッと揺さぶられました」

 だが、当然1000万円を簡単に稼ぐことなど出来るわけがない。プルデンシャルの内情をよく知る内部関係者が証言する。

「私も誘われてプルデンシャルに入ったのですが、入社前に先輩から『クレジットカードを作れるだけ作っておけ』と言われ、不思議に思ったんです」

 その理由は入社後に判明した。関係者が続ける。

「入社して最初に先輩から言われたのは『いい物を身に着けないと、お客さんに信用してもらえない』。それで、入社前に作ったカードローンで借金をして、高級時計や革靴、オーダースーツを買いに行きました」

 さらに入社直後はパワハラ的な“指導”も度々あったという。

 別の関係者が振り返る。

「私がいた支社では、SM(セールスマネージャー)と呼ばれる営業所長が、新人LPの腕にガムテープで電話機を巻きつけ、延々とリストを見ながら営業電話をかけさせていました」

「3W」という営業目標

 SMがここまで新人教育に必死なのには理由がある。

「ねずみ講に似ていて、自分が採用した新人LPの稼ぎの数%がSMの懐に入るようになっているからです。その上、2年以内に新人LPが辞めてしまったら、SMは罰金を支払わなければなりません」(同前)

 もっとも、入社2年目までは“研修期間”扱いで、新人LPには会社から固定給が支払われる。

「でも、2年が経過したら固定給はなし。“フルコミッション(完全歩合制)”になるため、契約を取らなければ、生活をすることが出来ません」(同前)

 さらに、LPには1週間に3件の契約獲得を意味する「3W」という営業目標が課せられる。

「これが想像以上に大変で、達成するには1週間に2、30のアポを入れる必要がある。LPの立場は個人事業主なので、交通費や接待費などはすべて自腹。地方のお客さんもいるし、高級クラブで接待することもあるので、契約が取れなければ借金はどんどん膨らんでいく」(同前)

 毎週月曜日にはミーティングがあり、その都度営業成績が壁に貼り出される。

「優秀者は皆から拍手され、スピーチをして自己顕示欲を満たしていく。一方、成績下位の人たちは先輩から『やり方間違ってんじゃないの』と叱責され、次第に口もきいてもらえなくなっていく。そういう社風なので、とにかく契約数を増やそうと躍起になり、身銭を切る自爆営業に走る人も数多くいました」(同前)

 仕事に慣れない内は借金が増えるばかり。前出の内部関係者も、いつの間にか借金の総額が1000万円を超えていたという。

 では、1件の契約でLPはどれほどの儲けが出るのだろうか。元社員が明かす。

「ざっくり言うと、年間100万円の保険を売れば、LPには手数料として3、40万円が入ってくる。でも、月に100万円を稼げたとしても、ローンの返済でほとんど消えて、また借金。LPを辞めたら借金が返せなくなるので辞められない。こうしてどんどん深みに嵌まっていくのです」

 一方、稼ぐLPも確かに存在する。冒頭に登場した元幹部が打ち明ける。

「『3W』を100週、200週と達成し続ける凄腕のLPもいて、そうした成績優秀者は社内表彰はもちろん、年に一度行われるコンベンションにも招待されます」

 このコンベンションに招待されるのは、約4000人いるLPの上位10%ほど。以前は毎回海外で行われ、豪華ゲストが登場して会場を盛り上げていたという。

「ある年は、ハワイのホノルル空港の格納庫を貸し切り大宴会、日本からTUBEを呼んでプライベートコンサートをやりました。また、シドニー開催の時は、オーストラリア人歌手のオリビア・ニュートン・ジョンを呼びましたね」(同前)

 成績優秀者の中にもランクがあり、それぞれ呼称がある。トップは「SG(スーパーゴールド)」、2番目が「GP(ゴールドプライズ)」、3番目が「SP(シルバープライズ)」、4番目が「BP(ブロンズプライズ)」と呼ばれる。

 前出の元社員が言う。

「一番下の“BP”で年収が2000万円ほど。トップの“SG”は数えるほどしかいませんがボーナスを入れて年収3億円を超える人もいると聞いています」

 こうしたトップ営業マンになることがLPの目標であり、憧れでもあるのだ。

 前出の元幹部が言う。

「本当に稼いでいるLPは、タワマンに住んで愛人を作り、フェラーリ、船、ヘリコプターという“三種の神器”を買い揃える。そして銀座の高級クラブで毎晩豪遊。かたや、稼げないLPはカードローンに手を出し、そこからサラ金、果ては闇金にまで手を伸ばし、心身ともに疲弊。家庭も崩壊し、自殺してしまう人も少なくない」

 だが、それでもLPを志す人間は後を絶たない。前出の内部関係者が言う。

「やっぱり1発当てればデカいですから。仮に1億円の法人契約が取れれば、いきなり4000万円近くが手数料として入ってきて、これまでの借金もチャラ。一発逆転がある仕事だから辞められないんです」

 こうしたギャンブル的な“魅力”に惹かれるのか、最近では女性のLPも少しずつ増えてきているという。だが、別種の問題も多発している。前出の元幹部が嘆息して言う。

「人脈が尽きてしまって売り上げが立たなくなると、支社のトップLPと組んで仕事をすることが増え、契約手数料も2人で分け合う。そうしたことを繰り返している内に、自然と男女関係に発展してしまう。それが独身同士であれば問題ないかもしれませんが、そうでないケースも多く、たびたび社内で問題となってきました」

 また、女性LPが陥りやすいのが、いわゆる“枕営業”だ。元幹部が続ける。

「騙そうと思えば簡単に騙せる」

「金額の大きい法人契約が取れれば、契約手数料は数百万円単位になる。そのため、30代から45歳くらいのベテラン女性LPは、中小企業やIT企業の経営者といった“見込み客”と関係を持つことが多く、契約後にLPに入る手数料のキックバックを約束しているケースもよく聞きます」

 だが、こうしたキックバックや枕営業の実態は、社内調査を実施してもほとんど表沙汰にはならない。

「顧客と口裏合わせをしていることがほとんどなので、実態はブラックボックス。ですが、ある東京の支社ではベテラン女性LPが不貞行為をして、契約者の奥さんから訴えられたと聞いています」(同前)

 このように様々な問題がプルデンシャルの内部では頻出していたのだ。

「結局のところ、この商売は顧客とべったりの関係になることが基本中の基本なんです。だから、お客さんの方から『何か儲かるものないの?』と聞かれて金銭を託されることもよくあります。顧客がLPを信じ切っているので、騙そうと思えば簡単に騙せてしまうのです」(同前)

 その上、成績下位のLPは常に多額の借金を抱えており、構造的に金銭の着服が起きやすい環境にある。前出の内部関係者も言う。

「私も何度、お客さんのお金に手をつけようと思ったか。ギリギリの所で踏みとどまりましたが、いつ自分が一線を越えてもおかしくありません」

 今回の問題を受け、プルデンシャルは()(ばら)(かん)社長兼CEOが2月1日付で引責辞任し、後任には、グループ会社の得丸(とくまる)博充社長兼CEOを充てると発表した。

引責辞任する間原社長
2月1日から社長になる得丸氏

 だが、この人事に対し同社のOBはこう憤る。

「こんな大問題が明らかになったにもかかわらず、間原社長には1億円近い退職金が支払われ、加えて1億5000万円ほどのストックオプションも手に入るそうです。それでいて“顧問”として会社に居座ろうとしているなんて、ありえない」

 企業ガバナンスに詳しい青山学院大学名誉教授の八田進二氏もこう指摘する。

「今回の問題は、組織的な不祥事と言えます。組織全体がコンプライアンスに対し、非常に鈍感になっている。引責辞任した経営トップが顧問に居座るようでは、そうした疑念はいつまでも払拭できません。間原社長は完全に会社から離れるべきでしょう」

 こうした指摘や構造的な問題について、プルデンシャルはどう考えているのか。

 質問状を送付すると、次のような回答があった。

「ご指摘の通り、弊社の報酬体系が一部の金銭的利益を重視する志向を持つ人材を惹きつける可能性があったと考えております。(社長の顧問就任については)十分な引継ぎが終えられていないという状況に鑑み、7月末まで経営陣の再発防止策の実行を支援してまいります。なお、間原は7月末で顧問を辞任予定です。退職金の具体的な内容・金額については、回答を差し控えさせて頂きます」

 “プルデンシャル”には、「思慮深い」「慎重な」「万全を期した」といった意味がある。今後、社名に恥じない組織に生まれ変わることはできるだろうか。

 

【徹底取材】プルデンシャル生命 被害者が明かす詐欺師ライフプランナーの「営業トーク」《配偶者にも高額保険》《不誠実な会社の対応》《担当者は自殺した》(初出:2026年1月24日配信)

 100人以上の社員らが、顧客から巨額の金銭を着服していたことが発覚したプルデンシャル生命保険。1月23日に行われた記者会見で、間原寛社長は「被害にあわれたお客様に多大なる不安とご迷惑をおかけしていることをお詫びします」などと謝罪した。

1月23日に行われたプルデンシャル生命の記者会見 ©︎文藝春秋

 ところが――。経済部デスクが語る。

「会見が行われた日は衆議院の解散に加え、日銀総裁の記者会見もあった。プルデンシャルは、自分たちの会見の扱いができるだけニュースで小さくなるよう日程調整したのでしょう。しかも、会見場で質問ができるのは日銀記者クラブ加盟社と“日頃付き合いのある経済誌”のみに限定されていた。最後の最後で、なし崩し的にフリーランスや雑誌の記者にも質問が認められましたが、その対応は不誠実極まりないものに見えました」

社員107人が総額31億円を不適切に受領していた

 会見には間原社長だけでなく、プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンのブラッドフォード・オー・ハーン社長らも出席。独立した第三者の専門家でつくる「補償委員会」をたちあげる旨などが述べられた。その上で、

「金銭に関する不正は1991年から2025年にかけて、社員ら107人が500人を超える顧客から、総額31億円を不適切に受領していたことを改めて説明しました」(同前)

ブラッドフォード・オー・ハーン社長(左)と間原寛社長 ©︎文藝春秋

 では、こうした不正はどのような手口で行われてきたのか。「週刊文春」は複数人の“被害者”と接触。その巧妙なやり口を紹介する。

「愛人の家賃を払っている」と自慢され…

 最初の被害者Aさんは、居酒屋でたまたまライフプランナーのXと知り合い意気投合し、保険に加入した。

「Xはいつも羽振りがよく、飲食店で他の客の分まで支払ったりするような奴でした。また、結婚しているにもかかわらず、『愛人の家賃を払っている』と自慢するように話していたことも覚えています」(Aさん)

HPより

 だが、Xのそうした華美な生活は“虚飾”にまみれていたようだ。

「知り合ってから半年程たった頃、Xから『離婚調停の費用でカネがいる』と相談され、『絶対に返す』と言うので総額にして123万円を貸してしまったんです。プルデンシャルという会社の肩書きや、羽振りの良い生活ぶりを見て信用してしまった」(同前)

 Xは「弁護士を通じて返す」等と言っていたが、

「実際には弁護士はそうした業務を代行しておらず、虚偽の説明をされていました。さらに、Xは私以外の顧客とも同様の金銭トラブルを起こしていたことが分かりました」(同前)

写真はイメージ ©︎AFLO

 結局、Xはこの問題が会社に発覚する前に、自主退職という形でプルデンシャルを去っていった。

「プルデンシャルにこの問題を報告しましたが、『個人的な貸し借り』と一蹴され、一時金などの支払いも一切ありませんでした。やり取りはすべて電話と書面のみ。そんな会社の不誠実な対応に腹が立ち、契約していた生命保険はすべて解約しました」(同前) 

 Aさんは訴訟を検討したが、手間がかかるため今のところ実行には移していないという。

暗号資産への投資を持ちかけられた

 続いて登場するのはBさんだ。Bさんが知り合ったライフプランナーYも、Xと同様のことを嘯いていた。Bさんが明かす。

「Yは、自分の営業成績がトップクラスであるとかたり、『表彰されて今度ハワイに行くんだ』などと自慢していました」

 そんなYから持ち掛けられたのが、ビットコインや未公開の暗号資産(トークン)への投資だった。

「共通の知人から『プルデンシャルだから安心』と言われ、総額1500万円ほどを支払ってしまいました。そのうち500万円ほどはリターンとして返ってきたので、被害額は1000万円ほどになります」(同前)

 YはBさんに対し、こんな事も言っていたという。

「ビットコインで儲けた分でプルデンシャルの保険に入ってくれたらいいよ。俺には一銭も入らないから」

HPより

 前述の通り、Bさんは500万円のリターンがあったので生命保険に加入。その後、Yからは次々と投資の誘い文句がLINEで送られてきたという。

〈もっと(投資の)金額を上げてください〉

〈中途半端な額の人は相手にしていないので〉

 その気になって金を振り込んだが、しばらくするとYと連絡が取れなくなってしまったという。

「毎月10万円ほどの配当金が入ると言われていたのに入金されず、Yとも連絡が取れなくなった。しばらくしてから詐欺だと気づき、プルデンシャルに『保険金として払った分だけでも返してほしい』と伝えたが、けんもほろろ。後に、Yの上司が謝罪に来ましたが、そのときはすでにYはプルデンシャルを辞めてしまい、行方が分からなくなっていました」(Bさん)

配偶者にも高額保険を締結させた

 最後に紹介するのは、都内に住むCさんだ。Cさんが知り合ったのはライフプランナーのZだ。

写真はイメージ ©︎AFLO

 このZも、プルデンシャルで受賞した「社長賞」のこと、家族でハワイに招待された話などを繰り返し披露し、自分が成績上位者であることをしきりにアピールしてきたという。

「やがて、Zは投資話を持ち掛けてきて、最終的に一千万円を超えるお金を預けてしまいました」(同前)

 Zは、CさんだけでなくCさんの配偶者にも高額保険を締結させた。Cさんが続ける。

「しかも、業界慣行として給与に対する保険料上限があるはずなのに、プルデンシャルからは適合性の確認などは一切ありませんでした」

 Cさんは段々とZに怪しさを感じ、元本の返金を求めるようになった。だが、その度に返済を先延ばしにされ、最終的には「口座が凍結された」等と言い出すようになったという。

 そして――。

「Zは首が回らなくなったのか、自らの手で命を絶ってしまいました。Zは他の人にも投資詐欺を行っていたようです」(同前) 

 あまりに悲惨すぎる結末である。なお、CさんはZからの被害をプルデンシャルに話したが、上層部は面談を拒否。あくまで「個人間のやりとり」とされたという。

千代田区永田町にあるプルデンシャルタワー ©時事通信社

 プルデンシャルは今回の会見で「過去に補償対象外とされた事例も再度検討し、補償の必要ありと判断すれば補償する」と発表した。であれば、Aさん、Bさん、Cさんの案件を含め、全容解明に全力を尽くしてほしいものだ。

 

【元社員が証言】プルデンシャル生命「違法営業」はまだまだある!《「PROJECT 100」顧客リストを流用》《病気・事故で死んだ人が身近にいる架空設定で不安を煽る》(初出:2026年1月28日配信)

 500人を超える顧客から、金銭を騙し取るなど約31億円にのぼる不正な金銭の受領が判明したプルデンシャル生命保険。1月23日に開かれた同社社長らが出席した会見では、別の問題も明らかになった。

記者会見に臨んだ経営陣

「複数の社員らが、顧客の個人情報を不正に持ち出し、転職先で活用するなどしていた疑いがあることも発表されました」(経済部記者)

 この発表に驚くのはプルデンシャルの元社員。同社には、「違法な営業」がまだまだ疑われている。

「正直どの口が言っているのかと呆れましたよ。なぜならプルデンシャルは、社員を中途採用する際、前職の顧客リストを辞める前にメモしてくるよう指示しているからです」(元社員)

 その“証拠”が「PROJECT 100」と書かれたA4サイズのノートだ。

「入社前にそのノートを渡され、そこに100人分の名前、年齢、性別、職業を書き連ねていくのです」(同前)

 ノートは「学生時代の友人・知人および先生」、「趣味またはスポーツを通じての友人」と項目が分かれており、中には「会社関係」と書かれたページもある。

「学生時代の友人や知人には限りがありますが『会社関係』という大きな括りであれば無数に存在する。その欄に前職の顧客リストから得た情報を書いて提出するのです。顧客名簿を持ち出すのは不正競争防止法違反ですが、手書きのメモであれば問題ないと思っているのでしょう」(同前)

 そして、入社後はこの書き写した顧客リストを元に営業をかけていくのだという。現役の社員が語る。

「自分を採用してくれたセールスマネージャーと相談して、リストを見ながら電話をかけまくってロケットスタートを切るのが通例とされています」

 なお、新人がセールストークを磨くための教材も常に揃っている。

「社内のイントラネットに繋ぐと、テレアポの仕方から契約の決断を促す方法まで、そのすべてが動画になっています。お手本として動画に出演しているのは、エグゼクティブ・ライフプランナー。社内で“エグゼ様”と呼ばれ、崇められている最上位の営業マンたちです」(同前)

2月1日付で引責辞任する間原寛社長
後任の得丸博充氏

 もっとも、そのセールストークも詐欺的だ。前出の元社員が回想する。

「私が先輩から教わったのは、身近に病気や事故で死んだ人物がいるという架空の設定を作ること。『実は私の友人が事故で亡くなり、その娘さんは進学を断念することになり……』等と言って不安を煽り、保険の契約を進めるわけです」

 さらに、前号で記した1週間で3件の契約を獲得する「3W」という営業目標も「悪しき慣習」になっているという。

「3Wは、3人と契約を結ばなくても、1人から3つの契約を取れば目標達成になる。つまり、目標達成のために、顧客にとって必要のない保険まで押し付けて売ることが常態化してしまっているのです」(同前)

プルデンシャルHPより

 次々に出てくるプルデンシャルの“悪事”。同社に「PROJECT 100」を使った顧客リストの流用について尋ねるとこう回答した。

「当社では前職から顧客情報および機密情報を当社に持ち込むことは媒体問わず一切禁止しており、あくまで営業社員が個人的な関係性がある方(例えば、親族や学友等)のみにアプローチするように入社時の研修を含め、継続的に教育しております。結果的に、その中には前職の顧客でもある方が含まれるケースもございますが、あくまで個人的な関係性に基づき知り得た情報(例えば、氏名、連絡先等)のみを用いてアプローチをするものであり、本人の意向に反する形での前職で知り得た情報は一切利用していないため問題ないものと整理しております」

 溜まりに溜まった「膿」は一度出し切る必要があるだろう。プルデンシャルには、金融庁の立ち入り検査が2月5日に入る予定だ。

 

【独占入手】プルデンシャル生命 極秘資料を公開する「2025年だけで45人が懲戒処分されていた」 《契約者との金銭貸借、顧客情報の持ち出し、暴行で逮捕、隠蔽工作…》(初出:2026年2月4日配信)

〈社内限 懲戒委員会〉


〈下記事例を踏まえた上で、事故再発防止のため、今後支社での管理指導周知徹底をお願いします〉


「週刊文春」が入手したプルデンシャル生命保険の内部資料には、冒頭からこのような文言が大書されていた。同社が2025年に作成した事件簿に記載された“極悪社員”の数は45名。その全容を公開する。

 100人を超える社員らが、およそ500人の顧客から31億円もの金銭を詐取していた――。そんな前代未聞の不祥事が発覚したプルデンシャルに対し、遂に金融庁も動き出した。

 経済部デスクが語る。

「当初、金融庁は2月5日に立ち入り検査に入る予定でしたが、マスコミに情報が漏れたこともあり、急遽1月下旬に検査を前倒しした。今後、一定期間をかけて不正の全容を調べ、業務停止命令も含めた処分の検討をすることになります」

 その一方、社長兼CEOだった()(ばら)(かん)氏は、2月1日付で退任する際、全社員にメールでこう挨拶した。

「大変なご苦労がこれからもしばらく続くと思います。けれど、冬はいつしか終わりを迎え、南から春の暖かい風が吹いてきます」

2月1日付で退任した間原氏

 そうした中、今回「週刊文春」取材班が手に入れたのは、プルデンシャルの幹部社員にのみ配布される極秘の内部資料だ。

懲戒委員会の内部資料

 同社幹部が明かす。

「社内では月に一度、懲戒委員会が開かれており、その都度、処分結果がメールで送られてくる。今回の問題の調査が始まった24年の8月以降、懲戒処分の数が急激に増えました」

「週刊文春」は昨年1年分の“懲戒リスト”を精査。すると、同社が発令した懲戒処分の内訳は次のようになった。

・重譴責 1名
・業務停止(1週間)2名
・業務停止(2週間)2名
・業務停止(1カ月)1名
・業務停止(3カ月)2名
・業務停止相当 10名
・普通解雇 1名
・諭旨解雇 2名
・諭旨解雇相当 3名
・懲戒解雇相当 21名

 先の幹部が続ける。

「“相当”と書かれている処分は、既に退職した社員に対して発令されたもの。不正を働いたライフプランナー(以下、LP)の多くは、会社の聞き取り調査が始まる前後に、自ら辞めてしまっているのです」

 処分の理由は〈顧客情報の持ち出し〉、〈賭けマージャン〉、〈暴行容疑による逮捕〉、〈虚偽報告〉、〈不適切なインスタグラム投稿〉など多岐にわたる。最も多かったのが契約者との〈金銭貸借〉。その次が〈会社が取扱を認めていない投資商品等への関与〉だった。

新任の得丸博充社長

 例えば、昨年11月に「懲戒解雇相当」の処分を受けたA氏の報告書には、〈投資勧誘〉と〈金銭貸借〉の二つの“事件”が記載されている。

〈(A氏は)契約者8名に対し「知人に金を預けたら月3〜5%や年10%で運用する。元本保証、配当がもらえる」などと謳い、自ら投資勧誘を行っていた〉〈(A氏は)顧客13名に対し「知り合いの業者の経営悪化や連帯保証人になった件で債務者に逃げられた」などの理由で金銭を貸してほしいと依頼した。そのうち12名から計3千万円を借り入れていた〉

 被害総額は2800万円ほど。こうした行いが発覚したA氏に対して、懲戒委員会はこう断じている。

〈長期間に亘って複数の契約者に対して行為を繰り返している様子から反復継続性は高く、余剰資金のない顧客に契約者貸付を利用させてまで資金を工面させている様子は極めて悪質〉

 だが前述の通り、このA氏は既に退職している。

 昨年6月に同じく「懲戒解雇相当」となったB氏は、契約者から約1200万円を借り入れ。【管理職見解】の項目には、今回起きた問題の“病巣”とも思える所見が記されていた。

〈「自身を大きく見せたい」「すごい人だと思われたい」という承認欲求に駆られ、お金の使い方に関しても派手になっていったと想定される。自身の財産ではお金をまわすことが難しくなり、周りにいる頼みやすい社員や契約者や見込客、あるいはB氏自身が客として足を運んでいた接客業の従業員に対して「お金を貸して欲しい」という話をしていたと思われる。生活水準を徐々に上げていくことで承認欲求を満たし、その水準から下げることが出来なくなってしまったのも要因の一つとして思料する〉

 こうしたLPたちの数々の悪事が氷山の一角であることを示す報告書もある。昨年11月に「懲戒解雇相当」となったC氏の案件だ。

〈(C氏は)2名の契約者から金銭を複数回借入れていた。(計1,901,760円)〉

 その上でC氏は、契約者の一人に対し、このように口止めしているのだ。

「誰にも言わないでほしい。会社のアンケートにも回答しなくていい」

 C氏のこうした隠蔽行為について、報告書にはこう記されている。

〈過去調査を受けた後にも金銭貸借依頼を行っていることから、故意性があった上での行為、かつ反復継続性、その他悪質な事情が複数回認められるため、悪質性は極めて高いと言える〉

 C氏も既に退職しており、現在は〈代理人弁護士を通じて接触拒否を示して〉いるという。

 このような極悪社員による所業の中、最も“強烈”なのが昨年3月の懲戒委員会で「懲戒解雇相当」の処分が下されたD氏。【事故内容】の欄には、こう記載されている。

「開運」「波動」でトランス状態

〈自らを「開運王子」と名乗り、「開運」「波動」という言葉を使って契約者の意思決定を誘導し、適合性の原則に反する高額な保険を販売していた。その際、審査を通すために、契約者の年収や預貯金額を明確に確認せず、結果として過大な保険料の申込をさせた〉

 さらにD氏は、契約者に対して次のような発言をしたことも記述されている。

「ネガティブなことを言っているとあなたがイケナイ、あなたの精神がおかしい、運気があがらない」

 怪しげな単語を用いて勧誘する様は、もはや営業ではなく洗脳と言えるだろう。D氏の顧客からは、クレームも寄せられていた。

〈とんでもない提案だと思って愕然としている〉

〈開運トークライブで知り合いトランス状態にさせられた。その後、いきなり家に来て保険の売り込みをされた。断ってもしつこくされた〉

 前出の幹部が言う。

「こうした不良社員たちは、懲戒処分が出る前に会社を辞め、すぐさま同業他社に転職したり、独立して起業したりしている。これだけの悪事を重ねているにもかかわらず、彼らの名前は公表されることもないのでノーダメージ。今ものうのうと業界で“活躍”しているのが許せません」

 この内部資料についてプルデンシャルに尋ねると、文書でこう回答した。

「公表文に記載のとおり、今回不適切行為を行った社員および元社員に対しては、社内規程に基づいた厳正な処分を行い、併せて、事案の性質に応じて警察への通報・相談・情報提供等を実施しております」

 前述の間原氏は全社員に対して送ったメールを、こう結んでいる。

「諸行は無常です。皆さんのこれからの長い人生の中でこの状況が永遠に続くことは絶対にありません。どうかその間、逞しかった江戸時代の人々のように、孤独にならず、温かみを分け合い、助け合って過ごしていって下さい。そしていつか乗り越えたその年の桜は、皆さんのために咲くんです。きっと」

 まだまだ寒い季節が続きそうだ。

 

7億円詐欺「かけ子」リーダーはプルデンシャル生命社員だった!《プルデンシャル時代に“殺人犯”との知られざる接点》《全国ナンバーワン支社でデート商法を…》(初出:2026年2月24日配信)

 2月9日、警視庁特別捜査課が一人の男を逮捕した。容疑者の名前は菊池啓太郎(30)。元プルデンシャル生命保険の営業マンである。特捜課は、菊池が騙しの電話をかける「かけ子」のリーダーで、男女計約450人から約7億円を騙し取ったとみて捜査を続けている。男はなぜ、詐欺グループの統括役となったのか。そこには、プルデンシャル時代に知り合った“殺人犯”との知られざる接点があった。

 警視庁担当記者が解説する。

「菊池の逮捕容疑は昨年5~6月、副業の紹介サイトに応募した大阪府堺市の当時24歳の女性に対し『初期費用を払う必要がある』などと嘘の電話をかけ、仲間と共謀して計165万円相当の暗号資産ビットコインを詐取したとみられています」

菊池啓太郎容疑者

 特捜課はこれまでに「かけ子」ら男9人を逮捕しており、菊池は詐欺グループの“本丸”として逮捕されたのである。

「警視庁は逮捕した男の認否や素性に関して詳細を明らかにしていませんが、実は、菊池は輝かしい“実績”の持ち主でもあります」(同前)

 菊池は、一体どんな男だったのか。

売上ナンバー1の“モンスター支社”に入社

 1995年、静岡県富士市で生まれた菊池は、幼少期から野球を続け、甲子園常連校としても名高い静岡高校に入学する。

 地元の野球関係者が語る。

「高校1年で身長182センチという恵まれた体格を持っていた菊池は、1年秋から6番サードとしてレギュラーを奪取。最後の夏は県大会の準々決勝で敗れて甲子園出場は叶いませんでしたが、50メートル5.8秒の俊足が注目され、ドラフトの“隠し玉”として『週刊ベースボール』に紹介されたこともありました」

ドラフトの“隠し玉”だった

 高校卒業後は中央大学商学部に進学。大学でも白球を追った。

「4年後のプロ入りを目指して大学では外野手に挑戦していましたが、課題だった打撃面で思うように結果が残せず、レギュラーを勝ち取ることが出来ませんでした」(同前)

大学時代の菊池容疑者

 もっとも、菊池はそこで腐らず大学在学中にベンチャー企業でインターン活動に精を出し、次第に営業職に興味を持つようになる。そして大学を卒業した2018年、大手の人材派遣会社に就職。ところが――。

「たった半年ほどで退社し、いま話題のプルデンシャル生命保険に入社。ライフプランナー(以下、LP)という名の営業マンになったのです」(同前・警視庁担当記者)

 菊池が入社したのは品川第一支社。通称「シナイチ」と言われ、全国ナンバー1の売り上げを何度も記録している“モンスター支社”だった。

 プルデンシャル社員が語る。

「当時のシナイチは、ぎりぎりプロになれなかった元スポーツ選手ばかりを採用しており、野球、サッカー、ラグビーなど全国大会出場経験者がゴロゴロいた。仕立てのいいテカテカのスーツを着こなし、高級腕時計をはめて営業に行く。ネットで“プルゴリ”と揶揄されているゴリゴリの営業マンが勢揃いしていました」

プルデンシャルタワー ©︎時事通信

 シナイチの採用担当者は、あと一歩でプロ選手になれなかった人材を探し出し、こう言って口説くという。

「君はスポーツではプロに行けなかったけど、プルデンシャルなら年収でプロ選手に勝つことが出来る。プロになった奴らを見返してやろう」

 縦社会に慣れており、馬力もある。最後は努力と根性で契約をもぎとってくる超体育会系集団に、菊池はさほど抵抗感なく馴染んでいった。

 だが、菊池を知る別のプルデンシャル関係者が明かす。

「シナイチではLPをニックネームで呼ぶ風習があり、菊池は『啓太郎』と呼ばれていた。でも、それは表向きの話。お笑いコンビ『COWCOW』のボケ担当に似ていたので、陰では『カウカウ』と呼ばれ嘲笑されていた」

菊池容疑者

 仕事ぶりはどうだったのか。

「彼の成績をひと言でいうなら“並”ですね。初年度だけ社長杯をもらっていた記憶がありますが、その後は金魚のフンのように成績優秀なLPにくっついてばかり。啓太郎って、よく言えば素直な奴なんですが、悪く言うとどこか抜けている子なんです」(同前)

 結局、プルデンシャルに転職しても大学時代と同様、思うように成績が残せず苦しんでいたというのだ。そして菊池の社会人としての人格形成に大きく影響を与えたと思われるのが、冒頭で紹介した“殺人犯”との接点である。

「当時のシナイチには、カネ、カネ、カネといった拝金主義が蔓延っており、その代表格が2022年に殺人容疑などで逮捕された高井凛でした」(プルデンシャル幹部)

「菊池と高井は互いに競い合っていた」

 高井は、21年7月に大阪府高槻市で資産家の女性を殺害した容疑で逮捕された。独身で一人暮らしだった資産家女性と養子縁組をし、約1億5000万円の生命保険を契約。受取人を自分にしたうえで殺害を実行した疑いで逮捕された人物である。後に高井は取り調べに対して黙秘を貫き、留置場で自殺するのだが、保険の営業マンとしても悪名が高かった。

高井凛(本人SNSより)

「見た目が爽やかで口も上手い高井は、独身女性に結婚をチラつかせて契約を取る、結婚詐欺やデート商法に近い行為を繰り返していた」(同前)

 それでも“結果”は残していた。

「菊池と同様、高井もスポーツ万能。高校ではアメフトで関西選抜のメンバーにも選出された。その体力を生かして、入社当初から高額契約を次々と取ってきていたんです」(同前)

 入社後しばらくすると、赤坂の高級タワーマンションに引っ越し、イタリア製の高級車ランボルギーニを乗り回す。そんな羽振りのいい同僚を横目で見ていたのが今回逮捕された菊池だったのだ。

 先のプルデンシャル関係者が言う。

「あの頃のシナイチでは、年に3~4回みんなで“ロープレ合宿”に行っていました。伊豆や箱根の高級ホテルに行って、日中はそこでロープレ大会。営業マン役と顧客役に分かれて、保険の勧誘の仕方をみんなの前で披露するんです。優勝したチームには豪華ディナーが用意されており、夜は朝までドンチャン騒ぎ。菊池と高井は互いに競い合っていました」

 だが、営業成績はいつも菊池が下。同僚の“活躍”に劣等感を感じていたはずだ。

「結局、菊池はプルデンシャルではたいした結果を残せず退社。22年11月にコンサル会社を立ち上げたのですが……」(同前)

 その直後、親族が警察に逮捕されるという不運に見舞われてしまう。

「親族の逮捕が菊池の人生にどう影響を与えたのかは分かりません。でも、それ以降、彼の行方はまったく分からなくなってしまいました」(同前)

1月23日に開かれたプルデンシャル生命の記者会見 ©文藝春秋

 そして今回、突然の逮捕が報じられたのである。

「連行される際にテレビに映った菊池の表情は、プルデンシャル時代に早朝から深夜まで働きまくっていたときのやつれた顔とまったく同じでした」(同前)

 菊池にとって、プルデンシャルで働いた時間にはどんな意味があったのだろうか。

 

【パワハラ内部告発】プルデンシャル生命“次期ナンバー2”のペットボトル投げつけ事件《ライフプランナーに「会社に来るな」「辞めちまえ」》(初出:2026年3月9日配信)

 100人を超える社員らが約500人の顧客から約31億円もの金銭を詐取していたという前代未聞の不祥事を受け、間原寛社長が辞任したプルデンシャル生命保険。新しく社長に就いた得丸博充氏は「お客さま補償委員会」を立ち上げ、急ピッチで再建に挑んでいる。だが、そんな新社長のお膝元でも次々と“新疑惑”が――。

 プルデンシャルの幹部社員が言う。

「2月27日に全国の支社長が集まる戦略会議が本社で行われたのですが、その場でなんの前触れもなく、いきなり『営業統括本部長が代わります』と発表があった。通常、こうした大型の人事異動があるときは事前に発表されるものですが、この日は本当に突然で驚きました」

1月23日に開かれたプルデンシャル生命の記者会見 ©文藝春秋

“ナンバー2”が突如交代

 プルデンシャルにおける「営業統括本部長」とは、超がつくほどの重要ポストだ。

 まず、全国各地にいるライフプランナー(約4300名)を指導するのが「営業所長」(約450人)。彼らを取り仕切るのが「支社長」(約140名)で、さらにその上に位置するのが「営業本部長」(7、8人)になる。その営業本部長たちのトップに立つのが「営業統括本部長」(1人)なのだ。

「営業統括本部長の“上”には、社長しかいない。つまり社の“ナンバー2”に位置する人間が、突如交代するという異常事態が起きたわけです」(同前)

問題を受けて社長に就いた得丸博充氏 ©時事通信社

 今回、営業統括本部長の職から降ろされることになったのは佐藤信博氏。神奈川大学を卒業後、積水ハウスを経て1994年にプルデンシャルに入社した人物だ。

「都内の支社で成績をあげ、ライフプランナーの最高位にあたるエグゼクティブまで登りつめた。その後、営業所長、支社長、本部長と順調に出世し、2023年1月に取締役兼営業統括本部長に就任。翌24年4月からは執行役員専務も兼ねるようになりました。前社長の間原氏と同世代で仲が良く、社内では『お友達人事で統括本部長になった男』と言われています」(同前)

 そんな“プルデンシャルエリート”の佐藤氏が、一体なぜ交代することになったのか。別のプルデンシャル幹部が明かす。

「実は、新設された『お客さま補償委員会』の相談窓口に、顧客からクレームが入り、佐藤氏が過去に行った営業行為に疑義が生じ、現在は自宅待機になっているようなのです」

新規契約は販売停止中(同社HPより)

 だが、問題はこれで終わらない。幹部社員が続ける。

「佐藤氏の代わりに新しく統括本部長に就任するのが執行役員常務のA氏です。彼は岡山大学を卒業後、リクルートを経てプルデンシャルに入社しました。岡山の支社でライフプランナーをしていましたが、上京して都内の支社長になった」

 この支社長時代に“問題”があるという。ある中堅社員が言う。

「Aさんのパワハラは社内でも有名です。営業成績の悪いライフプランナーに対して平気で『会社に来るな』『辞めちまえ』といった暴言を吐き、感情に任せて椅子を蹴ったり、ときにはペットボトルを投げつけることもあったと聞きました」

 そんな壮絶なハラスメント上司が営業のトップに座ることになるとは……。

次々と不祥事が発覚するプルデンシャル ©時事通信社

A氏を直撃した

 A氏を電話で直撃した。

――佐藤氏に代わって統括本部長になると聞いた。

「あの、ちょっと人事の件で、まだ表に出ていないことなので控えさせて頂きます」

――部下に対しペットボトルを投げたことは?

「まぁ……投げるということについては、一人くらいはあったかもしれませんが……。その人が、まぁ、なんと言いますか、平日にちょっと奥様以外の人と出歩いている事実を知って、急遽呼び出してっていうのはありますけども……。でもそれは、オフィス外の話ですけどね」

――オフィス外だとしてもペットボトルを部下に投げるのはどうなのか。

「そうした経緯も大事かなと思っていますけど。それに投げたと言っても、ぶつけた事は一切ありません。一回もありません」

――感情に任せて椅子を蹴ったことは?

「椅子を蹴るのはないですよ。一度もないかどうかと言われますと……いま思い出そうとしていますけど、ないはずですよ」

――部下に対して「会社に来るな」「辞めちまえ」と言ったことは?

「『辞めちまえ』という表現をそのまま使ったってことはないと思います。やはり業績が悪くなりますと、フルコミッション(完全歩合制)ですから収入が支出を下回る形になるんです。そうすると借金をつまんだりする形になり、首が回らなくなる。そうした状態で会社を辞めるよりは、その前にもう一つの違う道を示していくのも管理職の責任だと思っておりまして。そういう観点で伝えることはあります」

 プルデンシャルにも改めてA氏のパワハラ行為や佐藤氏の金銭疑惑等について尋ねると、こう回答した。

「弊社は、社員および元社員による金銭に関わる不適切な行為を極めて重大な問題と受け止めており、被害を受けられたお客さまへの補償、原因の徹底究明および再発防止を最優先で進めております。また、役員・社員による部下や同僚などへの不適切な言動や行為についても断じて容認しておらず、そのような行為が確認された場合には、社内規定に基づき厳正に懲戒処分等を行っております」

得丸新社長の受難は続く ©時事通信社

 そして、統括本部長が交代することについては、こう答えた。

「弊社人事に関する質問については公表している以上の回答は差し控えさせていただきます」

 不祥事の発覚以来、退職者が続出しているというプルデンシャル。再建への道は果てしなく遠い。

 

【独自入手】プルデンシャル生命保険が社員に突きつけた「退職金不支給」誓約書《現役営業マンが証言「自粛なんて口だけ」》(初出:2026年5月1日配信)

「こんな誓約書、絶対に署名できませんよ」

 

 今年1月、社員ら100人超が顧客約500人から31億円もの金銭を騙し取っていたことが判明したプルデンシャル生命保険。愛想をつかして離職を決意したベテラン営業マンからは、こんな不満の声が続出しているという。一体、社内で何が起こっているのか。 

 4月22日、プルデンシャル生命は当初5月上旬までとしていた新規保険販売の“自粛期間”を180日間延長すると発表した。

プルデンシャル ©時事通信社

 経済部記者が語る。

「得丸博充社長は、客への補償を審査する“補償委員会”にグループ全体で約700件もの被害相談があったことを明かし、『中途半端に(営業を)再開することは、将来に渡ってはるかに大きなリスク』等と記者会見で説明しました」

 こうした上層部の決定に不満を募らせるのは、プルデンシャルに在籍する現役の若手営業マンだ。

「自粛なんて口だけですよ」

「私は5月の営業再開を心待ちにしていました。『あなたと契約をしたい』と言ってくれるお客様に対し、わざわざ『自粛期間が明けるまで待って下さい』と言っていたんですから……」

 そんな中“どうしても許せない連中”がいるという。

「営業マンのトップに位置する“エグゼ(エグゼクティブライフプランナー)”の連中です。彼らは自粛期間中にも関わらず、勝手に営業活動をしまくって、毎月新規の契約を取って利益を上げている。結局、経営幹部たちも“エグゼ”には逆らえない。自粛なんて口だけですよ」(同前)

 実際、プルデンシャルの社員だけがアクセスできるイントラネットを覗くと、自粛期間中にも関わらず「週間業績速報」が日々更新されていることが分かる。

「例えば4月13日の週は全社で363件の契約があり、1億1200万円の売上げがある。このように営業マンたちが各地で契約を結んでいるのに、会社は何も言わない。それでいて『自粛を延長』って……」(同前)

 このようなチグハグな対応に愛想をつかす営業マンが続出。3月末の退職者は70人を超えた。

 だが、会社を辞めるのにも大きな“難関”が立ちはだかる。冒頭で登場したベテラン営業マンが嘆く。

「辞めるには『退職願兼誓約書』という会社が作った文書にサインをする必要があるんです。この文書は、今回の問題が起きた後の今年2月に改定されているのですが、その内容があまりにひどいんです」

 小誌はその誓約書を入手。そこには14の条項が並び、各項目にチェックを入れる形式になっている。なかでも評判が悪いのは、第10条の〈退職金の不支給条件の確認〉という項目だ。そこにはこう書かれていた。

〈私は、貴社退職後同業他社に就業した場合、退職金が不支給となることがあることを確認いたします〉

 
退職願兼誓約書

プルデンシャル側は何と答えるか

 前出のベテラン営業マンが語気を強めて言う。

「同業他社に行ったら退職金を出さないだなんて、こんなの憲法が定める“職業選択の自由”の侵害じゃないでしょうか」

 労働問題に詳しい師子角允彬弁護士はこう指摘する。

「一般論として、退職金の不支給や減額が許容されるのは、著しく信義に反する行為があった場合に限られる。時間的、場所的な限定もなく、同業他社で就業したことのみをもって著しく信義に反する行為があったとは言いにくい。競業行為に対して形式的に退職金の不支給、減額が行われているとすれば、そのような運用は問題ではないでしょうか」

1月23日に開かれたプルデンシャル生命の記者会見 ©文藝春秋

 一方、プルデンシャルに自粛期間中の営業活動や、こうした誓約書の問題について問うと、こう回答した。

「自粛期間において、弊社では新規契約の販売活動は原則取扱停止としております。ただし、特定の条件において、お客さまが不利益を被るような場合において、営業管理職の承認を条件に、本社所定のモニタリングを経ることで一部特例での取り扱いを認めております。(誓約書については)弊社は、法令の範囲内で退職者と誓約書を取り交わしておりますが、その具体的内容、及びこれに基づく運用についての回答は差し控えさせていただきます」

 問題が山積するプルデンシャル。自粛期間の延長は、180日間で足りるのか。

  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春