松井監督がついに誕生した。それは天国のミスターも待ち望んだ瞬間に違いない。2人の出会い、「4番育成1000日計画」、そしてヤンキースへ。師弟関係を間近で取材し続けた鷲田氏が今だから明かすホームラン級秘話の数々。
グラウンドではどんな場面でも物おじせず、常に余裕たっぷりな男が、珍しく緊張した面持ちで語りだした。
「皆様、こんにちは。来季より巨人軍の監督に就任することになりました松井秀喜です」
10月23日、巨人・松井秀喜監督(52)の就任会見が行われた。
現役引退から14年。野球界が待ちに待った松井監督の誕生である。その決断の背景には、昨年6月3日に亡くなった恩師・長嶋茂雄さんへの思いがあった。
「本当はね、長嶋監督にもこの姿を見ていただきたかったなという気持ちは正直ありました」
会見に臨んだ松井監督は濃紺のスーツにドット柄のネクタイを着用していた。これは2013年、長嶋さんと国民栄誉賞を受賞した際、長嶋さんが御用達のテーラーで新調してくれたお揃いのものだった。


会見場の「オークラ東京」もゆかりの場所だ。長嶋さんはホテルのダイニング「オーキッド」のアップルパイが大好物で、取材といえば「オークラで」と指定。専任のバトラーもいた。
そして松井監督が選んだ背番号は「90」。第一次監督時代に長嶋さんがつけていた番号である。
「私もその気持ちをもちろん継いでいきたいというのが一番です」
松井監督はそう語った。
そんな2人が初めて対面したのは、1992年12月24日、クリスマスイブのことだった。このオフに2度目の巨人監督に就任した長嶋さんは、ドラフト会議で4球団競合の末、星稜高・松井秀喜選手との交渉権を獲得。入団が決まった約1カ月後、報知新聞(現スポーツ報知)のお正月企画で初めて顔を合わせた。当時、長嶋番だった筆者も同席していた。
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source : 週刊文春 2026年11月5日号
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