「安全最優先の大会を実現し、大きな問題なく、大会を開催できた」

 9月5日に幕を閉じた東京五輪・パラリンピック。組織委員会の橋本聖子会長(56)は、翌6日の記者会見でそう胸を張ったが――。

 演出責任者の交代など迷走を重ねてきた五輪の開閉会式。一方、パラリンピックの開閉会式は好評を博した。何が違ったのか。

パラ閉会式の台本

「あまり知られていませんが、もともとパラの開閉会式は、佐々木宏氏が演出責任者でした。ところが『花形の五輪をやりたい』と五輪の演出に乗り出し、昨年春にMIKIKO氏から責任者の座を奪った。今年3月、“侮辱演出案”で退任したものの、結局、政治家が強く要望した市川海老蔵や木遣りの演出は盛り込まれました。一方、佐々木氏が去って以降、パラは政治の介入は皆無だった。クリエイターの意向が優先された結果、ストーリー性を重視した演出内容になったのです」(組織委関係者)

 そんな中、五輪開会式で数少ない好評を博した演出が、約1800台ものドローン飛行だった。だが、セレモニー関係者が明かす。

「本来はピクトグラムのパントマイムに合わせて、ドローンが上空にピクトグラムを描く演出が用意されていました。『イマジン』の歌詞をドローンで上空に表示する演出も予定されていた。ところが、公表されていませんが、前日にドローンの一部に不具合があったそうです。無観客とはいえ、国立競技場周辺には多くの人々が集まることが予想された。急遽、当日これらのシーンをカットし、事なきを得ました」

 しかし、こともあろうに大会期間中、パラ選手を危険に晒す事故が起きていた。8月26日、選手村内でトヨタの自動運転車「eパレット」がT字路を右折する際、視覚障害を持つ柔道男子81キロ級代表の北薗新光と接触したのだ。

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source : 週刊文春 2021年9月16日号