「どなたが(新総裁に)なっても、安倍・菅政権の説明しない政治を引き継ぐのかどうか」

 立憲民主党の枝野幸男代表(57)は9月26日、訪問先の福岡で、こう自民党政権を批判した。しかし、番記者の頭には「お前が言うな」との言葉が浮かんだはずだ。

 その4日前のこと。枝野氏は「酒に酔って迷惑行為を行った」として1カ月の停職処分とした立憲職員について記者団から詳細を問われても「承知していない」。性別についても「男性か女性かを分ける時代ではない」と意味不明な回答をした。政治部記者は「職員の性別を問われたのに、ジェンダー論にすり替える。質問に正面から答えないのは安倍晋三、菅義偉両氏とまったく同じ」と批判する。

 立憲関係者によると職員は50代の男性。枝野氏の新潟出張に同行した18日、帰りのJR埼京線車内で向かいの女性の衣服内をスマホで盗撮した疑いで逮捕された。2017年の結党時からの古参職員で枝野氏や福山哲郎幹事長、“党職員のドン”秋元雅人事務局長に近い。「安倍・菅政権と同じ身びいき。枝野氏らは、この職員を守りたくて対応が後手後手。危機管理能力のなさに他の職員はげんなりしている」(前出・関係者)。

 立憲は枝野、福山、秋元の3氏による独裁体制ともっぱらの評判だ。旧国民民主党からの合流組の泉健太政調会長は「党の幹部会でスパイ扱いされて、いつも外されている」とぼやいている。枝野氏は4氏が争う自民党総裁選について「そもそも党内で政策を競い合っていること自体が政党として成り立っていない。ちょっと意味が分からない」と批判したが、政治部デスクは「まさに“語るに落ちる”で、立憲の独裁体質を自ら表明した。この薄暗さが党の不人気の原因だ」と指摘する。

 安倍・菅政権は「説明しない、説得しない、責任をとらない」の頭文字から「3S政治」と批判されるが、「枝野政治は『危機管理能力なし、議論なし、人気なし』の『3なし政治』だ」(同前)。

 24日には平野博文選挙対策委員長が、小沢一郎氏と会談し、野党共闘に向けた候補者一本化の交渉役を依頼した。驚きなのは、平野氏が枝野氏に事前に何の相談もしなかったこと。翌日、記者団に問われた枝野氏は「何の報告も受けていない。平野さんに聞いてください」と不快感を示した。代表なのに、目下の最重要課題である選挙態勢の相談すらされない枝野氏。「指導力なし」も加わる「4なし政治」だが、それを招いたのも枝野氏の「人望なし」が根底にある。「5なし政治」の様相だ。

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source : 週刊文春 2021年10月7日号