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共同通信若手記者が連続退職 部長が出した“非常事態宣言”

THIS WEEK「社会」

「週刊文春」編集部
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 国内最大の通信社、共同通信で〈非常事態〉が起きている――。

 舞台は、同社の国際局海外部。政治部や社会部などの「一般記者」とは異なる「英文記者」ら約60名が所属している。海外大学出身者や帰国子女の記者も多い部署だ。

「海外部の記者は独自に政治、経済などを取材して外国語で記事を執筆しています。通常の日本語記事の翻訳も行っている。海外部が配信する英文ニュースは世界の主要メディアが『共同によると』と引用するなど、大きな影響力を持っています」(共同関係者)

 その海外部のトップ、海外部長が〈部長連絡 ●重要●〉と題したメールを部員や関係者らに一斉送信したのは、11月15日のことだった。〈また一つ、残念なお知らせ〉として報告されたのは、海外部に籍を置くエース級の官邸担当記者の退職。問題のメールは以下のように続く。

〈相次ぐ若手の退社であり、組織としては非常に大きな痛手です。特に深刻なのは、その他の要因で記者のポジションにある方々ばかり、6名の欠員が生じているか今後生じるため、欠員の合計が7名に達してしまうことです〉

 約60名の部員のうち、7名が欠員という事態。そして、こう綴ったのだ。

〈このままでは、通常のシフトが従来通りは回らなくなる、まさに非常事態と言えます〉

 今後、人事異動や採用活動も行われるものの、

〈人員が正常化に近づくのは来年の夏ごろになってしまう可能性が高いでしょう。それまでの間は、何らか特別な措置を取らない限り海外部の仕事を従来通りこなしていくのは不可能になると認識しています〉

海外部長が部員らに送った一斉メール

 一体、なぜこんなことになったのか。内情を知る職員が明かす。

「今春から退職・休職が続き、部内は騒然としています。産休などの例を除けば、原因の大半はAデスクの言動と言われている。ワシントン支局帰りのエリートですが、部下を『コイツは使えない』『全然ダメだ』と非難するのは茶飯事。私生活をしつこく聞いてケチを付けるなど、陰湿な嫌がらせに『パワハラだ』と音を上げる若手も少なくありません。しかもAデスクは海外部プロパーの英文記者ですが、部長は外信部出身の一般記者。それだけに、部内を牛耳るAデスクに強くモノが言えないようです」

 共同通信に事実関係の確認を求めたところ、主に以下のように回答した。

「(Aデスクの言動については)ハラスメント事案に対しては適宜、適切に対応をするよう努めています。退職や休職はそれぞれの個別の事情と考えています」

 共同の〈非常事態〉宣言が解除されるのは、しばらく先になりそうだ。

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source : 週刊文春 2021年12月2日号

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