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〈まん防発令へ〉コロナ最前線ルポ(後編) 高齢者「3回目接種」東京都千代田区が7000枠も確保できた理由

送迎タクシーも無料で運行中

「週刊文春」編集部

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 新型コロナウイルスの感染状況が悪化し続けている。

 とりわけ首都圏の感染者増加に歯止めがかからず、東京都では病床使用率が1月17日時点で21.1%。まん延防止等重点措置の適用の要請を検討するとしていた20%を超えた。 このような状況を踏まえ、東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏1都3県は17日、政府にまん延防止等重点措置の適用を共同で要請。政府は専門家に諮った上で、19日に適用を正式に決定する。

 一進一退が続くウイルスとの攻防。だが一方では、コロナと日々対峙する現場では“新たな知恵”も生まれている。ワクチンの3回目“ブースター”接種も始まった。コロナと向き合う人々の最前線をレポートする。(後編)

 

★前編を読む

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種、いわゆる「ブースター接種」がいよいよ本格化しようとしている。いち早く11日から接種を開始したのが、東京都千代田区だ。 

千代田区の集団接種会場となった総合健診推進センター。全員が座って待てるよう椅子が用意されていた

 千代田区保健福祉部長の歌川さとみさんが解説する。

「3回目接種を開始するにあたり、まず問題となったのは会場です。1回目と2回目は、いわゆる普通のホールなども会場としていました。しかしその場合、資材や機材の調達が必要となり、どうしても準備に時間がかかります。また、経過観察中の体調不良などの対応を考えても、3回目接種は病院を会場とするのが良いだろうと考えていました」

 歌川さんによると、千代田区は既に2回目接種の段階から、3回目の接種を見込んで、区内の病院と調整を行っていたという。病院との調整にあたって障壁となったのは、国の方針がなかなか見えてこなかったこと。

1回目・2回目と同じ動線を使用したため、会場設営もスムーズだったという

「当初は2月中旬頃からの接種を見込んでいましたが、途中から前倒しという話が出てきて、2021年末ギリギリまで事務的な詰めを行っていました。結果、4つの病院にご協力いただき、2月末までに7000近い枠を確保することができました」(同前)

 7000近い枠があれば、約1万1000人いる千代田区の一般高齢者のうち、2回目まで接種を終えた人が全員接種を希望しても受け入れられる計算になる。病院側も2回目までのノウハウがあったため、接種開始日の決定からわずか10日ほどで、受け入れ開始に至ったという。ところが、

「蓋を開けてみると、思ったよりも希望される方が少なく、空きが出ている状況です。特にモデルナを使う会場はガラガラの状態。皆さん様子を見られているのかなと思います。会場を選ばなければ、接種券が届いた翌日の枠からでも予約が取れますよ」(同前)

問診と接種資格の確認が手際よく行われる

 高齢者の3回目接種を増やしたい千代田区では、集団接種会場まで無料タクシーも運行する。乗合方式としているが、現在は利用者が少なく1人で乗車できることも多いそうだ。

区内5箇所から乗合タクシーを無料で利用できる

「オミクロン株は若い世代の感染者が圧倒的に多く、重症化率も低いと言われています。しかし、高齢者が感染した時にどうなるのか、保健所も心配していました。今は予約も取りやすい体制が整っていますので、是非高齢者の方には早めにワクチンを打っていただきたいと思います」(同前)

 1月17日午後、千代田区の集団接種会場の一つである、JR水道橋駅近く、神田三崎町にある総合健診推進センターを訪れると、多くの高齢者で賑わっていた。この日は、93名の接種希望者を受け入れた。区内にあるその他の接種会場にも、多くの高齢者が集まっていたという。

1月6日に接種券が届いたという男性。迷いなく予約を取ったという

 総合健診推進センターで接種を受けた82歳の男性はこう喜びを露わにする。

「インターネットから予約を取ったが、難しくなかった。本当に効くのかわからないが、やはり早めに打てて嬉しいですね」

 新型コロナウイルスの発見から2年。人類のコロナとの戦いは徐々にだが確実に、前に進んでいる。

(写真・吉田暁史)

source : 週刊文春 電子版オリジナル

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