西村京太郎91歳“終の住処”湯河原と晩年の日々 「先生、〆切ですよ」と声をかけると目を開けて…

「週刊文春」編集部

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 3月3日、作家の西村京太郎さんが神奈川県・湯河原町の病院で肝臓がんのため亡くなった。享年91。トラベルミステリーの大家として『寝台特急(ブルートレイン)殺人事件』『終着駅(ターミナル)殺人事件』など数多くのミステリー小説を遺した。

 西村さんは1930年、東京生まれ。旧制府立電機工業学校から東京陸軍幼年学校に進学。卒業後は現在の人事院で勤めるが、30歳を前にして作家を志し、退職。32歳で受賞した「オール讀物」推理小説新人賞を皮切りに、1965年に発表した『天使の傷痕』で長年の目標だった江戸川乱歩賞を受賞。だが、その後はしばらく栄誉に浴しながらもヒット作品に恵まれなかった。

 そんな西村さんを救ったのが、1978年の『寝台特急(ブルートレイン)殺人事件』である。主人公の十津川省三警部が時刻表を用いて犯人を突き止めるという設定は大きな反響を呼んだ。「十津川警部」はサスペンスドラマの人気シリーズとなり、長年にわたって多くの読者に愛された。

 順風満帆だった作家生活。だが1996年に転機が訪れる。脳梗塞で倒れ入院したのである。これを機に療養のため京都から湯河原に転居。2001年には自宅の隣に「西村京太郎記念館」を立ち上げ、湯河原を終の住処とした。

©文藝春秋

 西村さんは湯河原でどのような晩年を過ごしていたのか。長年にわたり担当編集を務めた『オール讀物』編集長・川田未穂氏が語る。

「先生の仕事場は自宅の3階にあり、そこから新幹線や東海道線が走っているのを見ることができるんです。先生は温泉もお好きですし、湯河原はお気に入りの地だったんだと思います。2001年に創設された湯河原文学賞にもずっと選考委員として関わっておられ、この地域に貢献したいという気持ちが強かったのでしょう」

行きつけの蕎麦店で…

 温泉地として多くの人々が訪れる湯河原町。駅から車を5分ほど走らせると、西村京太郎記念館が見えてくる。現在はコロナ禍のため臨時休業中だが、正面には美しい千歳川を望み、東側にはJRの線路を見ることができる。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル

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