ロシアのウクライナ侵攻と各国の経済制裁で、世界経済は不安定化している。今後、日本経済にどんな影響が及ぶのか。
「こんなカニ、もう入って来なくなるんでしょ。おいしいんだけどねえ」

東京・上野のアメ横商店街の食品店店主はそう苦笑する。店頭には「ロシア産」と書かれたカニが並んでいる。国産品より割安な値札付きだ。日本にとってロシアは海産物輸入先の第3位で、カニやウニ、イクラやサケが主要品目。経済制裁が本格化すれば、ロシアとの取引は止まる。もちろん“海の幸”との別れだけではすみそうもない。経済評論家の加谷珪一氏が語る。
「今後、何から何まで値上がりし、凄まじいインフレが生活を直撃します」
資源大国ロシアからの供給不安が生じたため、既に資源の値動きは激化。ニューヨーク原油市場では今月、13年ぶりの高水準となる1バレル130ドルまで急騰した。今後、150ドルまで上がるとの見方もある。加谷氏の分析によれば、国内ではまず電気代、ガス代など資源高に直結した料金が高騰する。
「3〜6カ月のタイムラグで食品価格にも転嫁される。すでに豆腐やパンは高騰が始まっていますが、もう1段階値上がりする。夏までには20%ほど値上げされるでしょう。加工食品の原料や農業、漁業のための燃料も高騰するので、肉や野菜も例外ではない。牛丼やハンバーガーも高くなる。白物家電やマンション価格にまで波及するのは必至です」(同前)
2月末に始まった侵攻の半年後、つまり8月末までにはあらゆるものが恐ろしいほど値上がりするのだ。
「一方で賃上げは容易ではありません。原材料費が高くなれば、メーカーなどはその分を価格転嫁と人件費抑制で吸収するしかない。家計の支出は増えて給料は増えず、消費は更に冷え込み、企業の業績は益々低下する悪循環です」(同前)
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も厳しく予測する。
「これから起きるのは“第3次オイルショック”です。第4次中東戦争に端を発した1970年代の第1次オイルショックに似た状況がすでに生まれつつあり、日本は資源自給率が低いので、他国に比べてもダメージは甚大です」
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
すべての記事が読み放題
月額プランは初月100円
既に有料会員の方はログインして続きを読む
有料会員になると…
世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!
- スクープ記事をいち早く読める
- 電子版オリジナル記事が読める
- 音声・動画番組が視聴できる
- 会員限定ニュースレターが読める
source : 週刊文春 2022年3月24日号