「ワシには分からん!」
「いや、会長、もう一度ちゃんと聞いてください!」「森のたまご」ブランドで知られる鶏卵大手「イセ食品」の会議室では、会長と社長の怒鳴り声が連日、響き渡っていたという。
1912年に富山県で創業したイセ食品は、国内の約10%に及ぶ1300万羽の採卵鶏を飼育し、2018年1月期には470億円の売り上げを記録。昨年6月まで会長兼社長を務めていた伊勢彦信氏(92)は世界的な美術品コレクターとして知られ、“エッグ・キング”とも称されている。
同社に激震が走ったのは3月11日のこと。伊勢氏の長男で元社長の俊太郎氏(66)と債権者のあおぞら銀行が、東京地裁に会社更生手続きを申し立てたのだ。
「コロナの影響で外食需要が減少し、卵の価格が下落。飼料価格も高騰し、2年程前から経営難が囁かれていた。負債額は453億円に上る」(経済部記者)
25日には更生手続きの開始決定を受け、事実上破綻。今後はスポンサー企業を探して再建を目指す。
ところが伊勢前会長は、息子の“造反”ともいえるこの申し立てに対し「全く理解できない」と、抗告の準備を進めているのだ。
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source : 週刊文春 2022年4月7日号