「被害者は自分だけじゃないんだって。勇気を持って告発した方を見て、私も話すなら今しかないと思いました」(女優のA子さん)
小誌は映画監督の榊英雄氏(51)と俳優の木下ほうか(58)による「性加害」を受けた女優たちの声を報じてきた。覚悟の告発は、同じ苦しみを持つ女優たちの背中を押し続けている――。
榊氏がメガホンを取り、安田顕と山田裕貴がダブル主演を務める映画「ハザードランプ」。一連の報道後も予定通り4月15日から全国で上映開始としてきたが、3月31日に突如、「(関係者の)総意形成に至らなかった」と公開中止を発表した。
木下は出演予定だったNHKの連続ドラマ「正直不動産」を降板。ドラマは再編集され、主演の山下智久の上司という重要な役どころの木下が出演しない内容に修正した上で放送されることになった。
だが優越的地位を濫用し、女優たちに性的関係を強いてきたのは二人だけではない。世界的巨匠とともに、数々のヒット作を手がけた敏腕映画プロデューサーもその一人だった。
梅川治男氏(61)。日本大学芸術学部映画学科在学中に自主映画制作を開始。卒業後は蜷川幸雄氏らが取締役を務める映像制作会社に入社し、87年に「バタアシ金魚」で映画初プロデュースを果たす。95年には映像企画会社「ステューディオ スリー」を創設。梅川氏が携わった作品は世界的にも高い評価を得てきた。
08年公開の蜷川幸雄監督作「蛇にピアス」では主演の吉高由里子が日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、ブレイク。09年、園子温監督作「愛のむきだし」は第59回ベルリン国際映画祭でカリガリ賞、国際批評家連盟賞を受賞。11年、同じく園監督の「ヒミズ」では主演の染谷将太と二階堂ふみがベネチア国際映画祭で日本人初の最優秀新人俳優賞を獲得。梅川氏も同作で名プロデューサー・藤本真澄の名を冠した「藤本賞・特別賞」を受賞している。
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source : 週刊文春 2022年4月14日号