「タイトル挑戦者を決めるリーグ戦は、挑戦どころか残留も難しいと思っていました。実力以上の成績だったと思いますし、本人にとっても良い経験になったのではないでしょうか」
そう語るのは2019年に史上最年少の10歳でプロデビューした囲碁の仲邑菫(なかむらすみれ)2段(13)の母、幸(みゆき)さんだ。仲邑は4月14日に始まった女流名人戦3番勝負でタイトル戦初登場。従来の最年少挑戦記録「15歳11カ月」を塗り替えた。
挑んだ相手は、その従来の記録保持者、藤沢里菜女流名人(23)。だがタイトル通算20期という第1人者の壁に2連敗で跳ね返された。
「奪取はなりませんでしたが、昨年は43勝18敗と勝ちまくった。獲得賞金も数100万円に達しているでしょう。近い将来、タイトルを獲得する可能性は非常に高い」(観戦記者)
仲邑は現在、都内の中学校に通う2年生。幸さんは今も対局時には日本棋院への送迎を欠かさない。
「背は随分伸びました。プロ入りの時は125センチと報じられましたが、今は140センチ以上。1日9時間は囲碁の勉強に費やし、ご飯もよく食べます。好物はキムチチゲ。お気に入りのチゲの素が最近店頭から消えてしまって、菫と『どうしよう』と話したばかりです」(幸さん)
今回“壁”として立ちふさがった藤沢は、実は仲邑にとって“良き姉”でもあるという。初めて会ったのは仲邑が5、6歳の頃だったが、21年、中学進学を機に拠点を大阪から東京に移したことで距離は縮まった。藤沢が語る。
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source : 週刊文春 2022年5月5・12日号