「よし、歌舞伎を観に行ってみよう!」と思ったけれど、そもそもいつどこでやっているの? 知っておきたいあれこれと、目一杯楽しむ方法を指南!
クーロン・ジョー 1976年生まれ。ライター、編集者。著書に『伝統芸能の革命児たち』など。「神田伯山ティービィー」などYouTubeチャンネルの監修も行う。
歌舞伎にはどんなジャンルがあるのか?
古典と新作、荒事(あらごと)と和事(わごと)など分け方はいくつかあるが、まず掴んでおくとよいのは、「時代物/世話物/舞踊」という分類。「舞踊」は踊りなので一目瞭然として、同じ台詞劇でも、「時代物」は格式ある武家社会のゴタゴタを扱う芝居、「世話物」は江戸に暮らす町民たちの間で起きる出来事を描く芝居であり、受ける印象はかなり異なる。
まず観にいくなら、どんな演目がいい?
歌舞伎はストーリーを楽しむというよりは(その要素もないわけではないが)、理屈を超えた高揚感やカタルシスを味わう芸能。なので、あらすじだけでは自分との相性が判断できないことも多い。では、どうするか。答えはカンタン。知っている役者が出演する演目を選べばよい。襲名披露公演もオススメ。役者自身のお家芸とされる演目が惜しみなく上演されるからだ。
「新作歌舞伎」とは何か。どんな演目がある?
新作には、古典をアレンジしたものもあれば、外部の作家によるオリジナル作品もある。近年よく話題となるのは、「ワンピース」や「風の谷のナウシカ」といった原作モノ。そもそも江戸の昔より、他の芸能の人気演目や、市井の流行、事件、なんでもござれと歌舞伎にしてきた。現代なら、コミックやアニメの人気作に食指が動くのは自然なこと。先端技術の導入にも貪欲で、ボーカロイドの初音ミクと組んだ「超歌舞伎」なども人気を博している。
歌舞伎はどこで見られるのか?
全国各地、劇場やホールによって色は異なるが、まずはなんといっても東銀座の歌舞伎座だ。歌舞伎の専用劇場であり、毎月約25日間も歌舞伎が上演される。歌舞伎座そばの新橋演舞場は、新作歌舞伎のメッカ。半蔵門の国立劇場は長大な演目の「通し上演」に力を入れている。明治座や浅草公会堂では若手をフィーチャーした公演が多く観られる。地方に目を向ければ、名古屋の御園座、京都・南座、大阪松竹座、博多座などが定番。香川の金丸座や熊本の八千代座など、昔ながらの芝居小屋も格別な風情がある。他にも企画公演や役者の自主公演など、大小さまざまな会場で歌舞伎は上演されている。
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source : 週刊文春 2022年5月5日・12日号