戦地に赴くウクライナ兵の軍服の肩には、青い髪の少女のイラストが施されたワッペンが縫い込まれていた。憂いを帯びた表情の少女の名は「綾波レイ」。日本の人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターだ。なぜ彼は、綾波のワッペンを装着しているのか。
5月6日、「ドミトリー・ムラチニク」を名乗るツイッターアカウントが、綾波のワッペンの写真を投稿。瞬く間に5万以上の「いいね」が付き、世界中から応援メッセージが送られた。
エヴァンゲリオンは主人公・碇シンジや綾波らが、「汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」に乗り、謎の敵「使徒」の襲来に立ち向かう物語。1995年からテレビ放送され、その後20年以上に亘り劇場版が制作された。ウクライナ研究会会長で神戸学院大学の岡部芳彦教授が解説する。
「ウクライナでは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、『美少女戦士セーラームーン』など日本のアニメが流入しました。テレビ放送された作品もあれば、インターネットで違法にアップロードされたものもありました。その中の一つが『エヴァンゲリオン』。エヴァは世代を超えて人気がある。基本的には字幕で見ているようですが、熱心なファンの中には、アニメ動画をロシア語などに吹き替えして公開している人もいるほど。09年にドネツクの大学で講義をした際に、学生から『日本で一番流行っているアニメは?』という質問を受けたこともありました」
SNSにはピカチュウのワッペンを着用する兵士や、銃に少女キャラのシールを貼ってデコレーションする兵士の投稿もあるが、エヴァは特別。ロシア軍の侵攻開始直前の2月16日には、キーウ独立広場周辺で劇場版の挿入歌「Komm, süsser Tod(甘き死よ、来たれ)」が流れたほどだ。
「エヴァが人気なのは、自分たちを『敵に立ち向かう者』に見立て、主人公らと重ね合わせているのかもしれません」(同前)
そこで小誌はSNSでムラチニク氏を直撃した。彼は現在、東部ハルキウ近郊に宿営中だという。
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source : 週刊文春 2022年5月26日号