埼玉県で実母と二人の同居人が5歳児を虐待死させ、床下に埋めた事件。現場の民家には以前、“主犯”の女の親族がいたが、一人は死亡、二人は行方不明となっていた。“魔窟”で営まれていた異様な集団生活の謎を追う。
〈ちょっと助けてほしい〉
AさんのスマホにLINEのメッセージが届いたのは、今年1月18日午後9時前のこと。中学と高校を共に過ごした親友の丹羽洋樹(34)からだ。金を無心する内容だった。

だが、Aさんは知る由もなかった。その日、丹羽たちが暮らす借家で同居人の5歳児が虐待死し、土中に埋められた事実を――。
◇
今年3月、埼玉県本庄市の借家床下から柿本歩夢(あゆむ)くん(5)の遺体が見つかった事件。5月11日、埼玉県警は歩夢くんに対する暴行や監禁の疑いで、家の世帯主の丹羽、内妻の石井陽子(54)、歩夢くんの実母の柿本知香(30)ら3容疑者を再逮捕した。


「3人はこの3月に逮捕され、すでに死体遺棄、傷害致死の罪で起訴されています。1月18日に亡くなった歩夢くんの死因は、後頭部強打による脳幹損傷。5月の逮捕では、ワイン樽状の雨水タンクや猫用ケージに閉じ込められるなど、歩夢くんが約1年にわたって受けてきた虐待の一端が詳らかになった」(社会部記者)
派遣社員の柿本が仲違いした夫から逃げ出し、歩夢くんを連れて丹羽や石井と暮らし始めたのは、昨年1月。冒頭のAさんは、遊びに行った本庄の家で、居候していた柿本母子とも何度か顔を合わせている。「猫用ケージ」にも心当たりがあった。丹羽が得意の“DIY”で作った、2メートルほどあるキャットタワー状の檻だ。丹羽と石井は、虐待された複数の野良猫を保護し、家で飼っていた。そのケージが、よりによって歩夢くんの虐待と監禁に使われていたのだ。
「今思えば、歩夢くんは同年代と比べて、表情の乏しい子でした。大人たちが何か説教を始めると、固まって喋れなくなってしまうんです。虐待の影響だったのかもしれない」(Aさん)
母親の柿本は「自分で何も決められず、人に流されやすい性格」(知人)だったという。Aさんも言う。
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source : 週刊文春 2022年6月2日号