フジテレビ『ポップUP!』のスタッフが二度、自殺未遂し、チーフプロデューサー(以下、CP)のX氏によるパワハラについて調査が行われている問題で、フジテレビが、X氏を番組制作から外す措置をとったことが「週刊文春」の取材でわかった。
6月8日、「週刊文春 電子版」で報じたX氏のパワハラ疑惑〈「フジ『ポップUP!』パワハラで被害者が自殺未遂していた」〉。
パワハラのターゲットとなっていたのが同番組アシスタントプロデューサー(AP)のA氏だ。X氏とA氏は、年齢は同じだが、X氏はフジ社員で、A氏は制作会社社員。圧倒的にX氏の方が優位な立場であった。番組スタッフが語る。
そして5月12日、テレビ番組欄の内容を巡り、X氏はA氏を執拗に叱責。A氏は薬を大量に飲み、自殺未遂をしてしまったのだ。
「Aさん自身もディレクターやADから、仕事が辛いと相談を受けていたそうです。Xさんからのパワハラだけでなく、後輩の悩みも抱え込んでいたのでしょう」(同前)
A氏は再び22日にも自殺を図る。幸いにも一命はとりとめ、2日後に退院できた。今は休職中だ。A氏の自宅を訪ね、パワハラや自殺未遂について確認すると、言葉少なに「事実です」と認めた。
番組開始から2カ月で責任者が外れる異例の事態
その後、X氏には労務管理担当者や大野貢情報制作局局長による聞き取り調査が行われた。フジ広報にX氏によるパワハラ、A氏の自殺未遂、聞き取り調査などについて質問状を送ると、概ね次のように回答した。
「御誌の質問には当社の認識と異なる内容が含まれていますが、ご指摘があった番組CPの言動等に関しては、当時の状況など詳細を確認しているところです。社員・スタッフが働きやすい環境を整えることは、すべての番組や職場において重視しており、当該番組についても改めて適切なあり方を検討しております」
そして、6月8日「週刊文春 電子版」が12時に本件記事を配信した後の午後3時45分、『ポップUP!』を統括する大野情報制作局局長が、番組の全スタッフを局内にある大会議室に集めて対面式の会議を開いた。その場で、大野局長は、パワハラの詳しい状況についてはまだ調査中のためはっきりしたことは言えないとしたものの、労働現場における勤務体制についてスタッフに苦労を掛けていることを認め、今後の体制を次のように変更すると説明したという。
「記事の当事者になっているCPのXさんは一旦、番組の実務から距離を置いてもらうことになりました。明日から当面の間、情報企画開発部長にCP代行をしてもらうことになります」
別の番組スタッフはこう明かす。
「さらに『バイキングMORE』の元CPもプロデューサー業務を手伝うことになった。現場からの信頼は厚く、スタッフたちは喜んでいます」
また、今後、スタッフにも順番にヒアリングを行っていくという。4月の番組開始から2カ月で、責任者が実務から外れる異例の事態となった『ポップUP!』。今後の番組作りが注目される。
source : 週刊文春