エルヴィス・プレスリーが生まれ育った南部ミシシッピ川周辺を周ってきた。
エルヴィスが生まれてから13歳まで住んでいた家はミシシッピ州テューペロという町に今も残っていた。8畳くらいの寝室と8畳くらいの台所兼食堂の2部屋しかない。水道も下水もなく、水は外からバケツで汲んでくる。トイレは外に穴を掘ってその上に小屋を建てる。汲み取りではない。穴が便でいっぱいになったら近くに新しい穴を掘って、そこに小屋をズラす。
こんな小屋はショットガン・シャックと呼ばれる。語源は色々あって、ショットガン一発で端から端まで撃ち抜けるほど小さくて薄っぺらいから、という説もある。基本的には南部の黒人奴隷が住んでいた家である。現在もミシシッピ・デルタと呼ばれるルイジアナからテネシーにかけて、多くのショットガン・シャックが残っており、最貧困の黒人たちが住んでいる。プレスリー一家は彼らに混じって暮らしていた。
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source : 週刊文春 2022年7月28日号