2011年の秋。ビラには〈「週刊文春」記者・石井謙一郎氏の素顔〉の見出しが躍り、〈全くの偽善者と言わざるを得ない〉と結ばれていた。だが、小社の前で抗議デモに参加していた統一教会信者たちは“不倶戴天の敵”の顔を知らない。当の石井氏(現フリーライター・61)は差し出された自身の中傷ビラを受け取り、悠然と出社していた。
石井氏が小誌編集部に加入したのは92年4月、31歳の時だ。前職は実用系雑誌の編集者。
「記者経験はなく、文春専属の特派記者の中では最も若手でした」(石井氏)
週刊誌デビューからわずか2カ月半後。石井氏は以後の記者人生を大きく左右する強大な“敵”と遭遇する。小誌は同年6月、84年ロス五輪代表で“新体操の女王”ことタレントの山﨑浩子(当時32)が合同結婚式に参加するという情報をキャッチ。取材班の末席にいたのが石井氏だった。
「編集部に端緒をもたらしたのはジャーナリストの有田芳生さん。松井清人デスク(前文藝春秋社長)の下、有田さん、先輩記者の松葉仁さん、私の3人で取材班が組まれました」(同前)
締切当日の夜、山﨑は張り込んでいた石井氏らの直撃取材にこう答えた。
「(教祖の)文鮮明先生が選んで下されば、その方と結婚します。すべては文先生がお決めになることです」
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source : 週刊文春 2022年8月11日号