昨年夏、チームでトレーニング中に倒れ死亡した木下投手。妻に医師は「搬送が早ければ助かった」と断言。ワクチンによる心筋炎の疑いも浮上する中、直前の激しいトレーニングは“なかったこと”に。そして、球団が提示したのは本来の補償額の1割だった。
昨年8月3日、その訃報は衝撃をもって伝えられた。倒れる約1週間前、コロナワクチンを接種したばかりだったからだ。疑われる死との関連性。そして遺族が調べると、直接の原因となったのは、球団側の杜撰な対応だった。
「もし、倒れたときに球団が適切に対応してくれていれば、雄介は助かっていた。後遺症はあっても、今頃はこの家で、娘や息子と一緒に過ごしていた……。そう考えると、いまでも悔しくて仕方ないんです」
そう吐露するのは、木下茜さん(31)。彼女は昨年8月3日、最愛の夫を27歳の若さで亡くした。プロ野球選手の木下雄介さん。中日ドラゴンズで将来を期待された右腕だった。
彼の死は、世間に大きな衝撃を与えた。現役選手だったことに加え、倒れたのが、新型コロナのワクチン接種から僅か8日後のことだったためだ。
遺族はこれまで、公の場で語ることを避けてきた。だが今回、1周忌を機に、雄介さんの母・暢子さん(60)、兄・貴介さん(31)同席のもと、茜さんが自宅で、約7時間にわたり小誌の取材に応じた。
「これまで詳しいお話をしてこなかったのは、大きな恩義のある中日と円満に話し合いたかったからです。雄介をプロ野球という世界の入り口に立たせてくれたのは、紛れもなく中日です。家族にとっても夢のような時間を過ごせたことは、いまでも心から感謝しています。だけど……もう我慢の限界です」
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source : 週刊文春 2022年8月11日号