上場企業のM&A(合併・買収)や倒産は、その会社の株式を持つ投資家に大きな影響を与える。インパクト大の情報は平等に提供されないと、ある投資家は得をして、別の投資家は損をすることが起きうるので、当事者は情報管理にことさら注意する。

 だからM&Aや倒産情報は秘密性が高いのだが、なぜかこれが漏れる。M&Aで最近よくあるのは、その案件を取り扱っている投資銀行や弁護士といった関係者が外に漏らすというパターン。リークをした事実を隠して、「大きなニュースになったあの買収劇は私がまとめたんですよ」などと言うと、「能力が高い人材」と業界内での評価が上がる。そうしているうちに高い報酬を提示し、転職を勧める人が現れるという構図らしい。

 報じるメディアは知ってか知らずか、こうした「わらしべ長者」の片棒を担いでいる。それでも聞いたことは秘密性の高い話。書けば特ダネになる。

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source : 週刊文春 2022年10月6日号