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President King of the United States(アメリカ大統領キング)

町山智浩の言霊USA 第642回

町山 智浩

連載

ニュース 社会 国際

 9月11日の朝、ミシガン州デトロイト郊外の警察に通報があった。若い女性の声だった。

「父に撃たれました」

 警察が現場に駆けつけると、散弾銃を持った男が撃ってきた。警官は応戦し、男を射殺。

 家の中では、警察に通報した女性で、銃撃犯イゴール・ラニス(53歳)の娘レイチェル(25歳)が、背中を散弾銃で撃たれていた。妻ティナは拳銃で4発も撃たれて死んでいた。ラニス一家の飼い犬も射殺されていた。

 ウォルドレイク市は人口の86%が白人。中流市民が住む安全な住宅地で、地元警察も銃撃戦は初めてだった。妻と娘を撃ち、警官を銃撃したラニスに犯罪歴はなく、近所の評判も悪くなかった。

 その夜、ラニス家の次女レベッカ(21歳)がSNSに投稿した。彼女はたまたま友達の家に泊まりに行っていたおかげで難を逃れた。

「うちの父を壊したのはインターネットです。

 わたしが子どもの頃、両親は本当に愛にあふれた、幸せな家族でした。私はいつも両親と特別な絆を感じていました。

 でも、2020年の大統領選挙でトランプが負けてから、父はQアノンの深いウサギの巣穴を転げ落ちていきました。父はネットにあふれる陰謀論を信じていきました。選挙は盗まれたというトランプの言い分や、ワクチン陰謀論や……」

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source : 週刊文春 2022年10月6日号

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