「ダンスを見る時にどこを見ているかというと、うまさじゃなくて、踊っている人の心を見ているんです。子どもに教える時も、その子の夢中さの度合いや、どういう気持ちで踊っているかというのを見て、感じて、褒めることが大切です」
2007年、シルク・ドゥ・ソレイユに日本人男性初のダンサーとして起用。米津玄師『LOSER』『感電』や、土屋太鳳が出演したSia『Alive』日本版ミュージックビデオ、国民的ヒットソング『パプリカ』(菅原小春と共作)などの振付でも知られる、ダンサーの辻本知彦。先月発売の著書『生きてりゃ踊るだろ』(小社刊)では、自身の半生とともに、子ども向けのダンスのワークショップへの思いや、教え方についても語っている。
「学校教育にダンスが取り入れられて、街中にスクールも増えて、環境は大きく変わりました。ただ、ダンスが普及するのはいいことと思う反面、その教えられ方が気になっています。決まった振りをきれいに揃えて踊ることばかりに力を入れがち。ダンスに決まった答えなんてないはずなのに。日本人の気質には合っているかもしれないですが、ダンスの根源の『思う通りに動く』こと、奔放に逸脱する身体表現も大事なんじゃないかと、コンテンポラリーダンスをする人間として思ったんです」
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source : 週刊文春 2022年11月17日号