〈ふるさとのために、自分ができることは何か?〉
そんなナレーションに続き、都内の飲食店で厨房を背に思いの丈を語るエプロン姿の男性。「店長」と紹介されているが、実は……。
これはNHK BS1で不定期に放送している番組『スポヂカラ!』の一場面だ。ロンドンブーツ1号2号の田村淳が司会を務める。
「震災やコロナ禍、過疎など課題を抱える地域が、スポーツの力で変わっていく姿を追うドキュメンタリー。被災地・釜石市のラグビーチーム、人口減少の進む秋田のバスケチームなどを取り上げた」(NHK関係者)
“事件”が起きたのは7月30日放送の〈甲子園 目指せる島へ〜鹿児島 奄美大島〜〉。大島高校が今春のセンバツに出場したことを機に、学校だけでなく、奄美に縁のある人々が活気づく様子を特集した回だ。
冒頭の男性は都内の奄美の郷土料理店に勤務する、奄美出身のA氏。番組では「店長」「奄美の郷土料理店を営む」と紹介され、鉄道会社を辞めて店を開いた経緯やコロナ禍で苦労した物語が、ナレーションや本人の証言を軸に描かれる。
「大島高校の生徒が作った学校新聞を読んで感銘を受け、奄美の魅力を伝えるべくイベントに出店する場面も。スタジオにも出演し、ロンブー淳さんとトークするシーンもあった」(同前)
しかし――。あるNHK局員が声を潜めて明かす。
「Aさんは実は、店長ではありません。店に勤めている、いち料理人なのです」
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2022年11月24日号