作曲家の三枝成彰さんからファックスが届いた。
「前の週刊文春で、僕のこと書いていてとても面白かったけど、間違いが。川端康成の自殺の原因となった若い家政婦さんは岐阜出身ではありません。初恋の人、伊藤初代が岐阜にゆかりがあるのです。僕は今、モーツァルトと妻コンスタンツェなど世界中の有名人のラブレターを合唱曲にしているので、川端と初代の書簡も、歌にするつもりです」
大変に失礼しました。
これに関しては、私の担当編集者S氏(東大大学院修了)が、例によってまた詳しい資料を送ってきていた。
「家政婦とのことを書いたのは『事故のてんまつ』という本だと思いますが、三枝さんよくこんな本を見つけましたね」
そして1977年の、川端康成夫人と佐藤寛子さん(佐藤栄作夫人)の、週刊誌の対談も探し出してくれた。その中で川端夫人は、
「誰でもウソだと思うことを、なんで(略)お書きにならなきゃいけなかったのか」
と、川端の家政婦への執着を否定している。が、2人の女性は夫を亡くしてそう経っていないというのに、やたら明るい。川端夫人の言葉に(笑)が多いのが、ちょっと不気味であった。川端氏は自殺しているのだ。
そして、
「この家政婦が、岐阜出身かどうかは確認出来ていません」
と、研究者らしくS氏はまとめていたのに、私が見切り発車してしまった。すみませんねえ。
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source : 週刊文春 2022年12月8日号