あらたな技術で息を吹き込まれた名作の数々監修者が語る、再発見したい大映映画の魅力とは

『夜の河』からの1枚。本作は1950年に「ミス日本」の初代グランプリに輝いた後、大映の女優となった山本富士子の代表作となった

The Golden Age of Daiei Film 主役を一層輝かせる 大映映画の“光”

 山本富士子、市川雷蔵、若尾文子――。数々の映画スターが所属し、日本映画の黄金時代を支えた映画会社・大映。巨匠たちの演出のもと豪華俳優陣を映したその映像美が、オリジナルに忠実に、高画質の4Kでよみがえった。4K初披露の8作品を含む、28作品すべてが4Kで上映される大映映画の映画祭が、来月20日から始まる。

 リマスターにあたって色味などのルックの監修を担当した、1966年に大映に入社した宮島正弘カメラマンが修復のこだわりを語る。

「これまで、元々の映画を知らない人が修復をしてしまうことで、色調や陰影がオリジナルと違う映画になってしまうことがありました。映画は全部監督が計算して撮っているわけですが、そうした意図は、当時のフィルム撮影を経験してきた人にしかわからないことも多いんです。だから、リマスターする作品の監督やカメラ、照明の皆さんと一緒に仕事をしてきた僕が、監修をさせていただいています」

 巨匠たちの作品を、封切当時のクリアな形に修復したことによって、改めて大映映画の魅力がより明確になった。

「大映映画は“光”が違うんです。映画というのは、主役にパッと目が行くように撮らないといけませんが、その光の使い方が大映は上手いんです。僕自身、宮川一夫さんはじめ大映の技術者たちが作り出す光に恋焦がれて入社したんです」(同前)

 4Kという技術によって新たに生まれ変わった作品だが、その情熱は受け継がれている。

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source : 週刊文春 2022年12月15日号