今年も残り僅かだが、この時期の棋士は気合が入っている。リーグ後半に入った順位戦、新しく始まる竜王戦のランキング戦……クリスマスや正月を気持ちよく過ごすため、年内の対局に全力を尽くすのだ。
竜王戦といえば、第三十五期竜王戦七番勝負は挑戦者・広瀬章人八段を相手に藤井聡太竜王の4勝2敗。初防衛に成功した。
印象に残ったのは逆転勝ちを収めた第三局。1日目(竜王戦は2日制)で藤井竜王は不利な形勢に追い込まれていた。今までの藤井竜王であれば、ここでどっぷりと長考に沈み、残り時間でも追い込まれていたところだろう。
正直なところ、盤面以外の駆け引きの巧みさはまだ藤井竜王にはない。私はそんな印象を彼に持っていた。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2022年12月29日号