文春俳壇|選者 池田澄子

文春俳句

「週刊文春」編集部
エンタメ 読書

 2000句以上ご応募いただいた前回(8月18・25日号)を上回る2670句のなかから、俳人の池田澄子さんに30句を選りすぐってもらいました。

 

 前回に続き今回も、「今まで出会ったことがない」と感じた句を中心に選びました。「こんな句は私には書けないなぁ」と尊敬したり、「やられちゃったなぁ」と悔しがったりしながら、特選、佳作、入選を決めて並べました。

《特選》

寒晴や青を薄めるテレピン油
(宮城県 末永真唯 57歳)

 テレピン油とは油絵具を溶かす画用液なのだそうですね。そのテレピン油で青を薄めているということは、きっとこれから真っさらなキャンバスに空を描くのでしょう。空の青さの表現は一切ない。それなのに、きっと空が青くて綺麗なんだろうなぁと思わせる。清々しくて美しい、カラッとした冬の空が見えてきます。こういう書き方はなかなかできないですよ。

開戦日倒木の根に絡まる根
(東京都 丹下京子 55歳)

 開戦日は、昭和16年(1941年)12月8日に日本がハワイの真珠湾に奇襲攻撃をして、太平洋戦争が始まった日ですね。

 切り株なら根っこは地中に埋まっているけれど、倒木だから根っこがあらわになっている。その姿が感じさせる無残。さらにそこに根っこが絡まっていて、怨念のようなもの、開戦日への悔しさのようなものも伝わってきます。とても良い句だなぁ。

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source : 週刊文春 2023年1月5日・12日号

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