深夜番組で最長の27年続く『伊集院光 深夜の馬鹿力』。なぜ支持されるのか。彼の才能に逸早く気づいていた放送作家が秘話を明かす。

 

(ふじいせいどう 1955年、山口県生まれ。第1回「星新一ショートショートコンテスト」入選。放送作家として、『オードリーのオールナイトニッポン』など数多くの番組を担当。著書に『一芸を究めない』『ラジオにもほどがある』等多数。)

 

 時はバブル真っ盛りの1987年秋、渋谷109のイベントスペースでのこと。

「♪恋人がサンダユウ~、毒蝮三太夫~」

 安っぽい黒のタキシードに黒マントを羽織った太った男が、松任谷由実の『恋人がサンタクロース』の替え歌を歌い出したのです。

 体型から予想する通りの太いバリトンでオペラ歌手っぽいものの、音程は外れていて、お世辞にもうまいとは言えない。くだらない替え歌を歌う芸を披露して、その芸の間のトークで、こう話したんです。

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source : 週刊文春 2023年1月5日・12日号